🇩🇪ドイツの川口マーン惠美氏、正論　「助けて！ドイツの新政権が左翼すぎてヤバい！」

緑の党は反ロシアなので、ベアボック新外相は今後プーチン大統領に対する批判を強め、電気不足に慄くドイツ産業の命綱である
ロシアからの新しい天然ガスパイプラインの運開も妨害するだろう。今でも悪い独ロ関係がさらに悪化することは間違いない。

また、中国の人権問題に声を挙げ、中国に完全に依存しているドイツ産業界の反発を招くことも必至。
それにより、中国、およびロシアの軍事的脅威が高まったりしたら、平和主義の緑の党はジレンマに陥る。

私は、新政権は必ず環境政策でコケると思っているが、この調子では外交でも大コケするかもしれない。

舵取りを間違えればドイツはカオスに

環境といえば、とくに緑の党が、選挙戦の最中から気候政策に最大の力を注いでいたのは周知の事実だが、
施政方針にもそれが色濃く反映されており、今後、気候対策はありとあらゆるものに紐づけて進められる。
しかもその内容は、すべて実行するならドイツは産業国の座から転がり落ちるだろうというほどの過激さだ。

石炭・褐炭火力の廃止は2038年から2030年に前倒しされ（ただしこれには、“理想としては”という言葉が挿入されている）、
2030年には電力の80％を再エネで賄うという。そして、カーボンニュートラルは2050年ではなく45年に達成。

その他の中身については、来週、詳しく書くつもりだが、一応ざっと挙げると、

新政権が掲げる政策

●ドイツは、合法であれ違法であれ、どうにかして入って来さえすれば、滞在も就業も、
しばらくすれば帰化さえOKという、移民にとって最高に魅力的な国となる。
●家族政策では、「夫婦」は、国家に承認された「責任を持ちあう共同体」に変わる。
しかも、その構成員の性別に規定はなく、人数も二人でなくても良い。また、性別はいつでも変えられる
（これらについては現在の私の理解力を超えているので、もう少し勉強してからご報告したい）。
●大麻の販売を合法化
●最低賃金を全職種において9.6ユーロから12ユーロに引き上げ
●国連の核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバーとして参加
●毎年、40万の住宅を建設（うち10万は公営住宅）等々。

ただ、問題は、どこからこれらの予算を捻り出すかという財政が、もう一つはっきりしていないこと。
また、環境政策と福祉に、理念が先行した非現実的な政策が多い。

4年前に自民党が連立交渉から降りた一番大きな理由が、緑の党の主張したエネルギー政策だったと言われている。
緑の党の主張は今回も変わっていないばかりか、世界的な流れにより、さらに強まっている気配さえある。

しかも、緑の党の後ろには、強力な応援団である各種環境NGOが控えており、今後、そこら辺をSPDのショルツ首相が
うまく調整できるのかどうか、手腕が問われるところだろう。そうでなくては、ドイツはカオスに陥る。

(3/3)