高市の「残業規制緩和」、その中身は「残業代ゼロ」（=高度プロフェッショナル制度の全労働者への適用）か

高市首相に労働法制を進言します～新時代の働き方デザイン～
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/6850600d459deacb6ac5336ba5413168ef0d6f4c
実務的に面白いのは、「高度プロフェッショナル制度（高プロ）」に対する外部からの批判と、実際の利用者の評価が全く逆である点です。
導入前には「残業代ゼロ法案」などと批判され、長時間労働を助長するとの懸念が広く表明されました 。しかし、労働政策研究・研修機構（JILPT）が
2023年に実施した調査（「高度プロフェッショナル制度の 適用労働者アンケート調査」）によると、実際の適用者の87.7%が制度に「満足」しており、
89.4%が「今後も適用を希望する」と回答しているのです 。

https://www.jil.go.jp/institute/research/2023/documents/0235.pdf

この事実は、我々に極めて重要な示唆を与えます。つまり、時間管理から解放され、自らの裁量で働き、成果によって評価されるという働き方の
「原則」は、労働者にとって非常に魅力的であるということです。制度の失敗は、その理念にあったのではなく、あまりに高い参入障壁によって、
その恩恵を受けるべき大多数の労働者を締め出してしまった「制度設計」にあったのです。

さらに、同調査によれば、適用者の年齢層は20代・30代が中心です 。彼らはまさに、デジタルネイティブ世代であり、柔軟で成果主義的な働き方を
最も望み、また最も得意とする層です。現行の高プロは、この意欲ある若手世代に対し、「君たちが望む自律的な働き方は、ごく一握りの選ばれた
業種だけの特権だ」という、残酷なメッセージを皮肉にも発信しているのです。