大阪の借金は増えたの?　現・元知事の意地がぶつかるSNS論争

大阪府の借金は増えているのか、減っているのか――。2022年の年の瀬、そんな論争がSNS（ネット交流サービス）上で巻き起こった。

　発端は、地域政党「大阪維新の会」代表を務める吉村洋文知事の「実績アピール」だ。府政では太田房江元知事（現自民党参院議員）時代の01～07年度、財源不足を補うために約5200億円の減債基金を取り崩して一般会計に繰り入れた。この基金は府の借金返済に備えて積み立てていたものだったため、「禁じ手」と批判を呼んだ。

　吉村知事は22年12月に自身のツイッターで、取り崩された減債基金の復元が23年度で終わる見込みだと投稿。太田府政後の橋下徹氏、松井一郎氏ら歴代知事が15年間かけて段階的に埋め戻したとし、「維新で必死に穴埋めをやってきた」と宣伝した。

　投稿は2000以上リツイート（引用）されて拡散した。だが、これをきっかけにネット上ではこんな疑問が広がり始める。穴埋めが進む裏で、府の借金が増えているのでは――。吉村知事の主張に異を唱える一般人らの投稿が相次いだのだ。

　その根拠に引用されたのが、府の借金である府債の残高を示すある棒グラフだ。過去20年間の推移が分かるが、これを見ると維新創設者の橋下氏が08年に知事に就いて以降、府の借金が膨らんでいるように映る。吉村知事はすぐに反応し、このグラフを「トンチンカングラフ」と批判。「府の借金が増えてる！と反対意見があるので一言。逆です」と投稿し、維新府政で借金は減っていると反論した。

　実はこのグラフは、総務省が作成したものに太田元知事の事務所が歴代知事の在任期間を追記したものだった。…(以下有料版で、残り1425文字)

毎日新聞　2023/3/16 05:15（最終更新 3/16 05:20）
https://mainichi.jp/articles/20230315/k00/00m/040/085000c