甘利自民新幹事長は６００万円の受け取りならびに口利き疑惑について改めて説明なさるということでよろしいか？

口利き依頼で秘書に現金や接待

　まず、甘利氏の「政治とカネ」の問題を簡単に振り返っておく。

　問題は２０１６年１月、週刊文春の報道で発覚した。千葉県の建設会社が１３年５月、都市再生機構（ＵＲ）との補償交渉を有利に導くよう甘利氏側に口利きを依頼したとされる。当時の甘利氏の秘書２人は現金５００万円を受け取り、このうち３００万円を政治資金として報告せず、私的に流用した疑いが浮上。２人はこれとは別に建設会社から１０００万円以上の接待を受けたとされる。

　一方、甘利氏自身も１３年１１月に大臣室で、１４年２月に地元事務所で、建設会社側から現金５０万円ずつ計１００万円を受領した。甘利氏は受け取ったこと自体は認め、政治資金として処理するよう指示したと説明した。週刊文春は、受け取った際に「ああ」と言って封筒を自分の内ポケットにしまった－－と報じたが、甘利氏は「品格が疑われ、あり得ない」と反論した。

　甘利氏と秘書２人は、あっせん利得処罰法違反と政治資金規正法違反（虚偽記載など）で告発されたが、東京地検は不起訴とした。

　……と、ここまでは世間の記憶に残っているようだ。

　実は甘利氏、復帰から３カ月後の１６年９月１４日に自民党本部で記者会見し、弁護士に頼んだとする独自の調査について「捜査と異なる結論を導く事実は見当たらなかった」と述べた。報道はあまり注目されず、知らなかったと驚く人がいるかもしれない。

実際、総裁選で安倍選対の事務総長として活躍し、テレビ番組にも出る甘利氏に、ネット上で疑問の声が上がっている。その多くは、

　＜ウヤムヤにして時間がたてば、みそぎがすんだということですか？＞

　＜（復帰後も）説明していない。そんな人物が要職に就いていいのか。国民はなめられたもんだ＞

　＜就任会見は、まず口利きの説明からお願いしますね＞

など、説明責任を果たしていないと批判する内容だ。

　さらには、

　＜モリカケＯＫなら何でもＯＫ？＞

　＜早くも「おトモだち優遇」体質が露呈＞

　＜疑惑への説明責任も果たしてないのにもう復権するのですか。安倍友って何をやっても許される＞

など、甘利氏起用に前向きだとされる安倍首相への批判も目立つ。

黒川弘務は、野党や一部のマスコミから「官邸の守護神と呼ばれている」などと評されてきた。黒川がそう呼ばれてきたことは事実だ。それにはどのような根拠があったのか。本章では、法務省官房長、事務次官時代の黒川と政界、そして、黒川と検察の関係について検証する。

よく引き合いに出されるのが、検察が不起訴処分にした「甘利事件」と「森友事件」だ。2つの事件を通して、当時の筆者の取材メモをもとに、「黒川守護神」の実像を考察したい。

まず、甘利事件。2016年1月20日、「文春オンライン」は、経済再生相の甘利明の地元事務所が、千葉県の建設会社の総務担当者から現金と飲食接待を合わせ総額1200万円の利益供与を受けていた疑いがあると報じた。担当者は甘利や秘書とのやりとりを隠し録音していた。甘利は、自らと元公設第1秘書が計600万円を受け取ったことを認め28日、経済再生相を辞任した。

　関係者によると、その後も薩摩興業は工事の影響で近くのプレハブが傾いたなどとして補償を求め、昨年夏ごろには約５１００万円を支払う契約が成立した。さらに、別の名目でも今年１月ごろまで補償交渉が続いていた。

　一色氏が甘利氏側に初めて陳情したのは１３年５月で、２回目の契約の約３カ月前だった。この契約では、ＵＲの当初の提示額は約１億８千万円だったが、最終的に約４千万円増額されていた。