【政治】菅義偉に首相はムリだった…なのに、なぜ「菅降ろし」が起きないのか　麻生と安倍の2人が「菅降ろし」の動きを抑えている

安倍が菅続投支持を明言したのには、もう一つ大きな理由がある。それは、盟友である副総理・財務相の麻生太郎との連携の維持だ。

　安倍と麻生の絆は深い。ともに母方の祖父が元首相という名門に生まれた政界サラブレッドであり、自民党内でも右寄りに位置する保守派であるという共通項もある。
　
　広く知られているように菅と麻生は、安倍政権を支える両輪だったにもかかわらず、政権が長期になるにつれ、様々な局面で衝突するようになった。とりわけ消費税への軽減税率の導入の是非や、衆院の解散時期などを巡って2人が真っ向から対立したことが知られるが、それだけではない。
　
　菅は官房長官として力をつけると、「ポスト安倍」政局での主導権を握るため、麻生の地元の福岡県の衆院補選や知事選で反麻生の候補を水面下で支援して当選させるなど、麻生の足を引っ張った。地元の麻生側近は「麻生さんもプライドがあるから表では口にしないが、菅さんに対しては相当、思うところがあった」と証言する。

　その麻生が、本当は快く思っていない菅を支える理由について、麻生側近は「麻生さんには、一旦支持した以上、徹底して支えるという美学がある」と説明する。自らが首相だった2009年春、内閣支持率の低迷を受けて党内で「麻生降ろし」の動きが広がり、衆院選を前に党内が混乱。それが野党転落につながったとの苦い思いもあるのだという。

　だが、自民党内でそれを額面通り受け取る者はいない。そもそも昨年の総裁選で麻生が菅を支持したのは、麻生内閣で閣僚に登用されながら衆院選を前に麻生の足を引っ張った、石破茂の総裁就任を阻止するためだった。麻生は安倍とともに当初は、政調会長だった岸田文雄を担ぐつもりだったのだが、共に最も許せない石破のトップ就任を阻むため、不本意ながら菅を担いだ。

　それでは、その菅を麻生が徹底的に守る本当の理由はどこにあるのか。細田派のベテラン議員は「仮に今年秋に本格的な総裁選が行われた場合、麻生派のホープである河野太郎が立候補する可能性が高いが、麻生さんはそれを嫌がっているのだろう」との見立てを示す。

「河野はまだ早い」

　麻生派は53人の議員を擁する大派閥だが、前身である元自民党総裁・河野洋平のグループを麻生が引き継いだ際はわずか11人の弱小派閥だった。その後、麻生の下で山東派(=高村派)をはじめ、甘利明や佐藤勉のグループなどを次々と吸収合併し、15年間で大派閥に育て上げた。

　だが、寄せ集めゆえに結束を維持するのは容易ではない。先述した松本純が離党を余儀なくされた際は、同じ麻生派出身の総務会長・佐藤勉が、菅や国対委員長・森山裕に「離党させてけじめをつけるべきだ」と強く働きかけたと言われる。

　麻生もすでに80歳。次の衆院選は立候補する意向を固めているが、次々回の選挙では長男に譲って引退するとの見方もある。政治家として最後の時を迎えようとしている麻生の望みは、自らが築いた大派閥を維持したまま、義弟である元総務会長の鈴木俊一に派閥会長を譲ることだと見られている。

　その大きな障害となるのが河野太郎の存在だ。

　昨年9月、安倍晋三の突然の退陣表明を受けた総裁選で、河野は一時、立候補の意向を漏らした。国民的な人気を誇る環境相・小泉進次郎も、河野が立候補すれば支持する考えを表明するなど、河野への支持は派閥を超えて若手議員の間に広がる様相を見せていた。

　だが、麻生に近いベテラン議員を中心に派内には「河野はまだ早い」との声も多く、麻生自身も派閥活動に関心を示さない河野について常々、「もっと社会常識や礼儀作法を身につける必要があるな」と側近たちに漏らしてきた。ある麻生側近は「河野氏は酒を嗜まず、正座も胡坐も苦手だから座敷を敬遠する。『酒抜きでテーブルに座って会食』では人間関係は深まらない」と指摘する。

　安倍政権の末期、菅は二階と連携し石破を担ぐそぶりを見せて安倍を心理的に追い詰め、望んでいた前政調会長・岸田文雄への禅譲を断念させた。その安倍も前述のように、自らの保身と党内での影響力維持のために菅の続投支持を打ち出している。

　この麻生と安倍の2人の姿勢が、菅政権の無様な新型コロナ対策に国民の不満の声が渦巻く中でも、自民党内の「菅降ろし」の動きを抑えている。果たしてそれが自民党にとって吉と出るか凶と出るか――結果はこの秋にはっきりする。
https://news.yahoo.co.jp/articles/64d8f53bd1288da4b6d4c856e53138529d8c4d83?page=5

ハイ論破

もう誰も総理大臣やりたがってないだけ
やりたい奴がいるなら降ろしにかかってるよ