RO-RO船、韓国タンカーに横っ腹を切り裂かれて沈没していた　水深60mで上下逆さまに

愛媛県沖で船衝突3人不明 乗組員“船側面に相手の船首が衝突”
2021年5月28日 19時43分

27日夜遅く愛媛県沖の瀬戸内海で日本の貨物船と外国船籍の船が衝突し、3人の行方が分からなくなっている事故で、救助された貨物船の乗組員が「船の側面に相手の船首が衝突した」と話していることが、
海上保安庁関係者への取材でわかりました。

27日午後11時55分ごろ、愛媛県今治市の北西の来島海峡付近で神戸市の「プリンス海運」が運航する貨物船「白虎」およそ1万1000トンとマーシャル諸島船籍のケミカル船「ULSAN PIONEER（ウルサン パイオニア）」
およそ2700トンが衝突したと通報がありました。

貨物船は転覆し、およそ2時間40分後に沈没しました。

今治海上保安部によりますと、この事故で貨物船の乗組員12人のうち
▽船長で山形県鶴岡市の佐藤保さん（66）
▽1等機関士で北海道北斗市の小川有樹さん（27）
▽2等機関士で鹿児島県枕崎市の上畠隆寛さん（22）の3人の行方がわかっていません。

貨物船は測量船による音波を使った画像の調査で深さおよそ60メートルの海底にひっくり返った状態になっているということです。

海上保安庁の特殊救難隊は28日昼前からおよそ2時間にわたって潜水による捜索を行いました。

また海上保安庁関係者への取材で救助された貨物船の乗組員は「船の側面に相手の船首が衝突した」と話していることがわかりました。

衝突があった来島海峡の海域は、潮の流れる向きによって船の航行ルートが変わり、海上保安部によりますと、事故当時は左側航行だったということです。

海上保安部は、事故の原因を調べるとともに、引き続き、3人の捜索にあたっています。

今回の事故について、来島海峡の事故に詳しい松山市の海事補佐人、鈴木邦裕さんに聞きました。

来島海峡の特徴について鈴木さんは「航路が曲がりくねって潮の流れも速い。また、潮の流れによって航路が決まり変則的な航海が求められることが特徴だ。難所ともいわれ、昔は事故も多かったが、
今は船の交通整理をする海上保安庁の来島海峡海上交通センターがあり、事故はずいぶん減っている」と話していました。

鈴木さんは今回衝突が起きた場所は、来島海峡の航路から西側に外れているとしたうえで「当時は、潮の流れは比較的穏やかで、今回の事故に潮の流れはほとんど影響していないのではないか」と分析しています。

また、この場所は、来島海峡の航路を出入りする船がすれ違う、往来が多い海域だということです。

こうした往来の多い海域を通行する際には、注意が必要だということで鈴木さんは「航海のルールを守ること。早めに相手をよけること。交通センターの助言を聞くこと。基本ルールを守ることが重要だ」と話していました。
この事故で、貨物船の乗組員のうち、4人を救助したコンテナ船の船長の岩間孝典さんが当時の様子を語りました。

岩間さんの船は当時、現場近くを航行していて、事故の情報を知りすぐに救助に向かうと、巨大な貨物船が徐々に傾いて沈んでいったということです。

また、貨物船から1キロ以上離れた場所で救命胴衣を着けた4人の乗組員が流されているのを見つけました。

浮き輪を投げるなどして4人を自分の船へ救助したあと、低体温の危険があると考え、すぐに船内の風呂に入れ海上保安部の船に移すまでのおよそ2時間、仲間と対応にあたったということです。

岩間さんによりますと、貨物船の乗組員たちは船の左後ろ部分に外国船の船首が衝突したと話していたということです。

岩間さんは「僕らは当たり前のことをしただけです。助かってほしいですしどういう形であれ見つかってほしいと思います」と話していました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210528/k10013057091000.html