「子ども家庭福祉」国家資格創設へ　児童虐待に対応　来年度前半に骨格

児童虐待に対応する児童福祉司などの専門性を高めるため、厚生労働省は「子ども家庭福祉」を専門とする新たな国家資格を創設する方針を固めた。来年度前半に資格概要の骨格をまとめ、早期の創設を目指す。

　児童相談所（児相）で虐待対応にあたる児童福祉司は国家資格ではなく行政職としての肩書であり、主な任用要件は社会福祉士だった。しかし、その養成課程には、子どもの権利や家庭支援など「子ども家庭福祉」分野の内容が少ないのが問題視されていた。

　新しい資格の取得要件として、国家資格である「社会福祉士」または「精神保健福祉士」の養成課程と共通の基礎科目に加え、新設の専門課程修了が検討されている。すでに両資格のいずれかを取得している人が専門課程を修了した場合に付与される案が出ている。取得方法は、国家試験の合格だけでなく、養成校の卒業と同時に付与する形が検討されている。

　一方、新資格は児童福祉司の任用要件の一つになるよう調整が進められる。また、取得者は市町村の虐待対応部署や施設、里親支援機関など民間での勤務も想定し、各分野で子どもの健全な成長を支えることに貢献することが期待される。

　厚労省は「児相だけではなく市町村も専門性を確保していく必要があるほか、全国各地に専門知識や技術を備えた人材がいることが重要になる。早急に準備したい」としている。【黒田阿紗子、阿部亮介】

毎日新聞 2021年1月31日 17時38分(最終更新 1月31日 17時41分)
https://mainichi.jp/articles/20210131/k00/00m/040/106000c