【医薬品】現在は100%中国産の抗生物質、30年振りに国内製造へ 💊

明治ホールディングス傘下のMeiji Seikaファルマは16日、肺炎の治療や外科手術の際に使う
「抗菌薬」の原料を生産する設備が岐阜県内に完成したと発表した。この原料は
ほぼ全量を中国など海外に依存しており、経済安全保障上のリスクが大きいと指摘されていた。
公的な支援も受けながら、約30年ぶりに国内での生産を再開する。

「また再開できるなんて感慨深い。生産が途切れずに続くよう継承したい」

同社の岐阜工場（岐阜県北方町）で働く山田浩一郎氏はつぶやく。山田氏は1984年に入社後、
10年にわたって抗菌薬原料の生産に携わってきた。
過去の知見を有するメンバーが残っていたことも再開にこぎ着けた理由のひとつだ。

コストは5倍
生産を再開するのは「ペニシリン系」と呼ぶ抗菌薬をつくるための原料
「6―アミノペニシラン酸（6-APA）」だ。岐阜工場で12月から生産を始める。
生産能力は最大年200トンで、国内で必要とされる量をすべてまかなえる見通しだ。
16日、岐阜工場内で開いた竣工式でMeiji Seikaファルマの永里敏秋社長は
「抗菌薬を安定供給することが我々の義務と責務だ」と説明する。

一方、課題はコスト競争力だ。6-APAを中国産から国産品に切り替えた場合、
最終製品のコストは3〜5倍に膨れる試算だ。このため、永里氏は
「中国産の供給が途絶する場合に備えて生産を始めるが、
中国にコストで肩を並べるのは難しい」と話し、
政府による買い上げなどを含めた公的な支援を要望していく考えだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC093140Z01C25A0000000/