有識者「2050年までに日本の社会保障制度は破綻するので、それ以降少子化は改善する」

〈視点〉戦後80年の社会保障　「ゆでガエル」になる前に　論説委員、特定社会保険労務士・鈴木穣
https://www.tokyo-np.co.jp/article/432440

「時代はそれぞれの問題をもつ」

終戦間もない1950年、戦後の社会保障制度整備の起点となった政府の有識者会議「社会保障制度審議会」が出した勧告（50年勧告）は、経済学者の大内兵衛会長のこんな語りかけから始まる。勧告の相手は吉田茂首相だった。

当時の国民生活は困窮の極みで勧告は「貧と病とは是非とも克服されねばならない」と訴え、社会保障制度とは「疾病、負傷、分娩（ぶんべん）、廃疾（重い病）、死亡、老齢、失業、多子その他困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ、生活困窮に陥った者に対しては、国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに、公衆衛生及び社会福祉の向上を図り、もってすべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすること」と定めた。

勧告を受けた政府は戦後、（1）社会保険（2）公的扶助（生活保護など）（3）社会福祉（4）公衆衛生―の4分野で必要な制度を整えてきた。勧告の特徴は社会保険を制度の柱に据えたことだ。代表例は医療、年金で、負担と給付の関係が分かりやすく理解を得やすいと考えた。

そして61年、国民がいずれかの医療・年金制度に入る「国民皆保険・皆年金制度」を達成した。