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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250712/k10014861291000.html
中国の侵攻に備え 台湾で大規模軍事演習 過去最長の日程で実施
7月に入り東シナ海上空では中国軍機が自衛隊機に至近距離まで接近したほか海上でも中国海警局の船が日本の領海に侵入を繰り返していて防衛省や海上保安本部が警戒を続けていますこうしたなか中国が軍事的圧力を強める台湾では中国の侵攻に備えて年に一度の大規模な軍事演習が行われていて軍の部隊や予備役が各地で訓練に参加しています
台湾で大規模軍事演習
今月に入って11日までに東シナ海上空では中国軍機が自衛隊機に至近距離まで接近したほか沖縄県の尖閣諸島の沖合では中国海警局の船が日本の領海に侵入を繰り返していて防衛省や海上保安本部が警戒を続けています
こうしたなか中国が軍事的な圧力を強める台湾では軍が今月9日から年に一度の大規模な軍事演習を行っています
演習は各地で昼夜にわたって実施され台湾東部の基地ではF16戦闘機の給油作業を行う訓練が行われたほか軍の部隊が装甲車の整備や点検を行ったり予備役の兵士はライフルや機関銃などを扱う訓練を行ったりしています
ことしの演習はこれまでで最も長い10日間の日程で実施され2万人あまりの予備役が招集される見通しで台湾としては防衛力を高め侵攻に備える姿勢を国際社会に示すねらいがあるとみられます
日本企業も備え
台湾に進出する日本企業のあいだでも中国による侵攻が起きた場合を想定した準備が進められています
東京・千代田区にあるコンサルティング会社です
台湾で事業を展開する日本企業向けに台湾でいわゆる「有事」が起きた場合の備えについて助言する業務を行っています
この会社では2021年度から昨年度までの4年間で台湾の安全保障に関するコンサルティングの売り上げが30倍あまり増えたといいます
相談が急増したきっかけは2022年のロシアによるウクライナ侵攻でした
多くの人が想像しなかった事態が現実になり同じことが別の地域で起きるリスクを企業が想定するようになったとしています
この会社では定期的に台湾にリサーチに訪れています
ことし3月には台北で台湾の中国に対する窓口機関の「海峡交流基金会」などを訪れて情報収集をしたり避難用のシェルターを見て回り避難経路を確認したりして顧客の企業に情報を提供してきました
顧客の企業からはもしもの場合に備えて従業員とその家族の安全をどう確保するかや台湾と中国の情勢について最新の動向を把握したいという要望があるといいます
これまで顧客から受けた相談で最も多かったのが「BCP」と呼ばれる災害や紛争など危機的な事態が発生した場合に事業をいかに継続するかを定めた計画を策定したいという要望だといいます
ここ数年で50社あまりの企業のBCPの策定をサポートしてきたといいこうした企業では侵攻が起きる前ぶれに発生するおそれのある通信障害や渡航制限などさまざまな事態が起きた場合をあらかじめ想定しそれぞれの段階でどう行動するかを計画で定めているといいます
東京海上ディーアールビジネスリスク本部の川口貴久主席研究員は「対外的に話す企業は少ないが日本で大手と呼ばれる企業の多くがいまや中国による侵攻のリスクを盛り込んだBCPを策定していてこの数年でかなり進んだ印象がある」と指摘します
そのうえで「台湾への全面的な侵攻がすぐに起きるかといえば可能性は今のところ低いがもし現実になった場合の影響が大きい事態に備えるのが企業の経営者のリスクマネージメントの考え方だ今後もトランプ政権の不確実な動向を背景に日本企業のあいだでは台湾の安全保障についても関心が高い状態が続きリスクに備える動きが続くと思う」と話しています
台湾で防衛意識を高める人たちは
中国が台湾に軍事的な圧力を強めるなか台湾では防衛意識を高める人たちもいます
台北にある民間の団体は市民向けに防衛の知識を身につける講座を開いています
この日は中国の軍事情勢や戦闘でけがをした場合の応急処置を学ぶ講座が開かれました
銃撃によって出血したことを想定して応急処置をする訓練も行われ止血帯と呼ばれる専用の道具で患部を圧迫し出血をおさえる方法を教わっていました
受講を希望する人は増える傾向にあり最近では兵役がない女性が防衛の知識を身につけたいとして参加するケースが特に多いといいます
親子で参加した30代の女性は「母を誘って参加しました2年ほど前から台湾海峡の情勢が緊迫してきたと感じるようになり受講したいと思いました緊急時用の物資の保管など備えもしています」と話していました