中国、トランプが60%関税なら報復すると宣言。「同水準に達した場合、両国間の貿易はゼロになる」

関税は通貨人民元や中国の米国債需要にも影響及ぼし得ると指摘

トランプ次期米大統領が公約通りに中国からの輸入品に60％の関税を課した場合、中国は反撃に出るとの見方を中国人民銀行（中央銀行）の元当局者が示した。

　　人民銀の元副総裁である朱民氏は15日、トランプ氏が「実際に中国に60％の関税を課せば中国は報復措置を取り」世界貿易機関（ＷＴＯ）に提訴するだろうと指摘。中国が「できることはたくさんある」とした。ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで語った。

　　朱氏は具体的な報復措置には言及しなかったが、関税が人民元に影響を与え得るとし、通貨は貿易や資本フローといった市場原理で決定されるものだと述べた。その上で、関税が中国の米国債への需要にも影響すると付け加えた。

　　中国の米国債保有額は約7750億ドル（約120兆円）に上り、日本に次ぎ世界で２番目に多い。

　　トランプ氏は第１次政権で3000億ドル余り相当の中国からの輸入品に最大25％の関税を課し、中国からの報復を招いた経緯がある。バイデン大統領は同関税をおおむね維持してきた。

　　トランプ氏は今年の大統領選で対中関税を最大60％に引き上げる考えを示したが、ブルームバーグ・エコノミクス（ＢＥ）によると、同水準に達した場合、両国の貿易はほぼゼロに落ち込む可能性がある。

　　国際通貨基金（ＩＭＦ）の副専務理事を務めたこともある朱氏は、貿易戦争がエスカレートした場合、両国にとって「厳しい状況になるだろう」と述べた。