- 1 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 18:47:54.090 ID:+d/oJqfR0
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“雲は天才である〟
彡(●)(●)「なにしてくれとるんじゃゴラァ!!!」=◯)`3゜)∵
彡 •⌄• )「そうよ、やっちゃえチョク兄ィ!」彡 •⌄• )「ワタシは菅野カズコ」
菅野家の末娘
今、ワタシたちは報復活動の真っ最中なの(〃`3´〃)「お前!オレは上級生やぞ!!」
(〃`3´〃)「年上に手を出していいと思っとるんか!?」彡(●)(●)「思っとるわボケェ!!!」=◯)`3゜)∵
彡 •⌄• )「そうよ、たかが数年はやく産まれたぐらいで偉そうに!」そしてこの大暴れしているのがワタシのお兄ちゃん
彡(゚)(゚)←菅野 直(カンノ ナオシ)
体は小さいけど俊敏でケンカに強い、明るい性格のガキ大将
直と書いて『なおし』と読むのだけど、言いにくいから
ワタシはチョク兄ィって呼んでるわ - 2 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 18:48:31.857 ID:+d/oJqfR0
-
彡(゚)(゚)「てめえ、よくもワイの尊敬する巌兄ィをいじめてくれたな」
彡(●)(●)「これはその仕返しじゃ!!!」=◯)`3゜)∵川´_ゝ`)「はぁ、はぁ……やっと追いついた…」
彡 •⌄• )「あ、巌兄ちゃん!」川´_ゝ`)←菅野 巌(カンノ イワオ)
名前の荘厳さと違って、すごく優しい菅野家の長男
学校の成績は常にトップで品行方正の優等生
でも……おとなしいからいじめられてたみたい彡 •⌄• ) .。oO(そんなの許せない!)
チョク兄ィも同じ気持ちだったみたいで
一緒にこうやっていじめっ子に復讐してるの川´_ゝ`)「直、もういいから…」
彡(゚)(゚)「ふんっ、巌兄ィが言うならこれで仕舞いや」彡(•)(•)「次やったらこんなもんじゃすまんからな……」
ε=ε= (〃"°3゜〃)「ひぃいいい」
彡(゚)(゚)「口ほどにもない奴やで」
川´_ゝ`)「直……気持ちは嬉しいけど、やりすぎだよ」彡(゚)(゚)「でもやな……」
川´_ゝ`)「直……」彡;(゚)(゚)「ぐぬぬぬ……」
彡(-)(-)……彡(゚)(゚)「うん、ワイがやりすぎた。反省するわ」
彡 •⌄• )「えー!チョク兄ィは悪くないわよ」彡(゚)(゚)「ええんやカズコ。巌兄ィの言う通りや」
彡 •⌄• ) .。oO(なによ!もう……)
チョク兄ィはいっつもこう
絶対に巌兄ちゃんには逆らわないんだから……川´_ゝ`)「さあ、家に帰ろうか」
ワタシは二人の兄に挟まれて阿武隈川の土手沿いを歩いて帰った
- 3 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 18:49:31.199 ID:+d/oJqfR0
-
彡( 'ー`)「カズコ!なにその箸の持ち方は!!」
彡 •⌄• )「なによ!食べれてるんだからいいじゃない!!」彡( 'ー`)「口答えしないの!!!」
彡( 'ー`)「お姉ちゃんのようにちゃんとしなさい!!」川◦-◦)「カズコさん……お母さまを怒らせないで……」
彡 •⌄• )「嫌よ!」母さまはとても厳しい人だった
箸の上げ下ろしから日常の立ち振る舞いまで口を出してきたかほるお姉ちゃん 川◦-◦)なんて初めての子だったから
特に厳しく躾けられて
親には絶対服従、口答えなんてもってのほかって考えが染み付いちゃって
親の顔色をうかがう、無口な子になっちゃった彡 •⌄• ) .。oO(そんなのおかしいわ!)
かほるお姉ちゃんはとても温和で優しい人なのに!チョク兄ィなんてその優しさに甘えて
中学生になるまでずっと添い寝をして貰ってたのよ
あ……これは内緒だったわ彡 •⌄• ) .。oO(でも、母さまは……他人の面倒見はいいのよ!)
畑を手伝いに来てくれる人にはご飯を勧めたり
寒い時には火をくべて暖を取ってもらったり
貧しい子供がいたらお小遣いをあげたり
いい人ではあるのよ!彡 •⌄• ) .。oO(でも、あの仕打ちだけは忘れられないわ!)
友達と遊んでたとき
その友達の服がみすぼらしいからって
ワタシの着ていたワンピースを彡( 'ー`)「今すぐ脱いで、その子にあげなさい!!」
彡 •⌄• )「って強制されたのよ!」
あのワンピースとてもお気に入りだったのに!たしかにワタシたちの父は元警察署長だったから
周りと比べてそれなりに裕福な生活をしているわ
でも、よその子にそこまで親切にするなら彡 •⌄• )「実の子にもっと優しくしてくれてもいいじゃない!!」
- 4 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 18:51:04.966 ID:+d/oJqfR0
-
ある雨の日
ワタシは友達を家に招いて遊んでいた
彡 •⌄• ) ( •⌄• ) ( •⌄• )『キャッキャキャッキャ♪』彡(゚)(゚)「カズコ、友達か?」
彡 •⌄• )「ええそうよ」( •⌄• ) ( •⌄• )「こんにちわー」
彡(^)(^)「いらっしゃいやでー」彡 •⌄• ) .。oO(チョク兄ィは男女とわず後輩の面倒見がよかった)
男の子が戦争ごっこをしている時でも
女の子がいれば看護婦役として一緒に遊んでくれた彡(゚)(゚)「雨やと外で遊べんから残念やな」
彡 •⌄• )「そうなの……本当は鬼ごっこしたかったんだけど」彡(゚)(゚)「ん?鬼ごっこなら家の中でもできるやろ」
彡 •⌄• )「え…」彡(゚)(゚)「こうやって家中の戸を開けてやな」
バーン
川´_ゝ`)「ん?」バーン
川◦-◦)「え?」彡(゚)(゚)「巌兄ィもかほる姉ェも一緒に遊ぼうや」
彡(^)(^)「ワイが最初の鬼になったる」ฅ(゚)(゚)ฅ「がおー」 ε=川◦-◦)川´_ゝ`) ε= ( •⌄• ) •⌄• )彡 •⌄• )
ワタシたちは夢中になって家中を駆け巡った - 5 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 18:51:48.552 ID:+d/oJqfR0
-
彡 •⌄• ) .。oO(直兄ィはいつもこんな感じ)
いつまでたっても幼くてわんぱく
そして……とても優しかった
だけど……彡(゚)(゚)「せや、隣に住んどる甲一くんも呼んだろ」
彡(゚)(゚)「おーい屁こきの甲一、お前もこっちこいや」三3ブッ彡 •⌄• )「友達がいるんだからそんな下品なことやめてよ」
彡(゚)(゚)「カズコ、お前もやるんや!」彡; •⌄• )「えっ…嫌よ……」
彡(゚)(゚)「逃げるんか?」彡`•⌄•´)「……逃げないわよ!」
彡`•⌄•´) 「やーい屁こきの甲一、こっちにいらっしゃい!」……川◦-◦)「カズコさん、はしたないですよ」
川´_ゝ`)「コラ、直。女の子にそんなこと言わせたらダメだろ」彡(゚)(゚)「……ごめんなさい」
彡 •⌄• )「……ごめんなさい」彡(ꐦ 'ー`)「コラァ!!近所中に大声でなにを言ってるの!!!」
彡 •⌄• )「やば……」
彡(゚)(゚)「本物の鬼や……」彡(゚)(゚)「みんな、逃げるんやー」
彡(ꐦ 'ー`) ε=彡(゚)(゚) ε=川◦-◦)川´_ゝ`) ε= ( •⌄• ) •⌄• )彡 •⌄• )
この後、ワタシたちは母さまに捕まってものすごく怒られた
主犯のチョク兄ィは庭先にあった柿の木に縛り付けの刑にされた
巌兄ちゃんは「俺が悪かったから堪忍して」と母さまをなだめていた┃木┃
川;´_ゝ`) 彡(ꐦ 'ー`)彡;(゚)(゚) - 6 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 18:52:54.276 ID:+d/oJqfR0
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ある日
彡(゚)(゚)「はーマラソンなんてやっとられんで……」
彡(-)(-)「木陰で寝とろ」( ゚Д゚)「菅野!なにをサボっとるか!」
彡(゚)(゚)「やば、体育教師に見つかってもうた」彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「逃げたろ」ε= (ꐦ゚Д゚)「コラァ!待てえぇ!!」 ε=┏彡(゚)(゚)┛
彡; •⌄• ) .。oO(騒がしいと思ったら……)
チョク兄ィが校庭を猛然と走ってる
相手は体育の先生で運動が得意なはずなのに……一向に追いつけないそして、そうこうしているうちに授業は中断され
全校生徒がこのレースを観戦し始めた
グラウンドを一周、二周してもチョク兄ィの独走は止まらない
でも、三周と半分をまわった所でチョク兄ィは足を止めた彡(゚)(゚)「もうええわ……今日はこの辺にしといたる」
(;゚Д゚)「ゼィ……ゼイ……」(ꐦ゚Д゚)「お前は何様じゃ!!」ボカッ
彡;(-)(-)「痛っ!!」( ゚∀゚)゚∀゚)゚∀゚)アハハハハ
この騒動に学校中が笑いに包まれた - 7 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 18:53:39.935 ID:+d/oJqfR0
-
夜中
(〃`3´〃)「これより肝試し大会を始める!」(;´Д`);´Д`);´Д`)ヒイイイイイイ
彡(゚)(゚)「ほーん」(〃`3´〃)「この先の寺に硯と筆と紙が置いてある」
(〃`3´〃)「そこに自分の名前を書いてこい!」(〃`3´〃)「後で確認したときに字が震えていたり……」
(〃`3´〃)「名前がなかったりする臆病者は……」(〃`3´〃)「非国民だ!」
(;´Д`);´Д`);´Д`)ヒイイイイイイ
彡(゚)(゚)「ほーん」(〃`3´〃) .。oO(直め……この前の恨み忘れてないぞ……)
- 8 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 18:54:34.173 ID:+d/oJqfR0
-
三十分後
彡(゚)(゚)「よし、ワイの番やな」
彡(゚)(゚)/「ほな、行くで」途中
(〃`3´〃)「ばあ!!」
彡(゚)(゚)……彡(●)(●)「幽霊の恰好ぐらいしてこいや!!!」=◯)`3゜)∵
ε=ε= (〃"°3゜〃)「ひぃいいい」
彡(゚)(゚)「ホンマ芸のない奴やで……」途中
川д川「うらめしや~」
彡;(゚)(゚)「なんや……雰囲気が出とるな」彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「けど、よう見たら別嬪さんやな」川д川「……///」
彡(゚)(゚)「女子が夜に外に出とったら危ないで」
彡(゚)(゚)「はよ帰り」川д川 コクン
※パッ彡(゚)(゚)「おお!消えよったで。どんなトリックやろ」
- 9 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 18:55:43.229 ID:+d/oJqfR0
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寺
(〃`3´〃) .。oO(直め……このまま終わらせはせんぞ)彡(゚)(゚)「お!これに名前を書くんやな……」
彡(゚)(゚)「あれ?」(〃`3´〃) .。oO(ヒヒヒ、墨を空にしてやったわ)
水もないから炭を擦って新たに作ることもできない
さあ、直
これでお前は明日から人気者から
名前を書けなかった臆病者に転落だ!彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「おしっこちー」(;〃゜3゜〃) .。oO(は?硯に小便をはじめたぞ……)
彡(゚)(゚)「炭を擦って……」
彡(^)(^)「よっしゃ!これでおしっこ墨の完成や!」彡(゚)(゚)「後は名前をバシッと書いて……よし!」
彡(゚)(゚)「帰ろっと」(;〃゜3゜〃) .。oO(なんて奴だ……)
- 10 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 18:56:28.973 ID:+d/oJqfR0
-
菅野家
彡(゚)(゚)「ただいまやでー」
彡 •⌄• )「おかえりチョク兄ィ」彡(゚)(゚)「なんや?まだ起きとったんかい」
彡 •⌄• )「うん!それで肝試しはどうだったの?」彡(゚)(゚)「大した事なかったわ」
彡 •⌄• )「へーさすがチョク兄ィ……あれ?」彡 •⌄• )「ねえ、後ろにいるお姉さんは誰?」
川д川
彡(゚)(゚)「お姉さん?」チラッ
※パッ
彡(゚)(゚)「そんなのどこにもおらんやんけ」
彡; •⌄• )「あれ……いない……見間違いかな?」彡;(゚)(゚)「怖いこと言うなや……はよ寝るで」スタスタスタ
彡; •⌄• )「う、うん」スタスタスタ川д川 パッ!
- 11 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 18:57:42.782 ID:+d/oJqfR0
-
彡 •⌄• )「あちゃー川が氾濫して橋が壊れちゃってる……」
彡(゚)(゚)「台風のせいやな」彡; •⌄• )「これじゃあ……学校に行けないわね」
彡(゚)(゚)……彡(゚)(゚)「いや……行ける!」
彡; •⌄• )「え?」彡(゚)(゚)「カズコは村の皆に橋が壊れとることを伝えるんや」
彡(゚)(゚)「ワイは泳いで学校の先生に休校にするよう言ってくる」彡; •⌄• ) .。oO(チョク兄ィはいったい何を言っているの??)
だって、川幅はだいたい300m
壊れた家の屋根や柱、他にもいろいろなモノがすごい勢いで
流れてきているのよ……
こんな濁流の中を泳げるわけないじゃない…… - 12 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 18:58:37.080 ID:+d/oJqfR0
-
彡(゚)(゚)「前方よーし!ワレ菅野直、飛び込み断行す!」
バシャン!!彡; •⌄• ) .。oO(あわわわわ……)
本当に飛び込んじゃった……
ど、どうしよう……大人に伝えに行く?
けど、その間にチョク兄ィが溺れて流されたら……( ゚∋゚)「おはよう、カズコちゃん」
彡 •⌄• )「あ!幸雄くん」( ゚∋゚)←彼は玉藤 幸雄(タマフジ ユキオ)
チョク兄ィがもっとも心を許している親友
とても読書家で自分でも詩や小説を書いているΣ( ゚∋゚)「チョク!なにしてんだあいつ!!」
彡; •⌄• )「泳いで学校まで行くって飛び込んじゃったの」彡 •⌄• )「ワタシ、大人の人を呼んでくるから……」
( ゚∋゚)「ふっ彼らしい……ボクも負けていられないな」彡; •⌄• )「え?」
( ゚∋゚)「とうっ!」
バシャン!彡; •⌄• )「えぇ…」
なに?男ってみんな……
バカなの?アホなの?死にたいの? - 13 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 18:59:22.123 ID:+d/oJqfR0
-
(; ゚∋゚)「チョ、チョクー!」
彡;(゚)(゚)「お!ユッキー。来てくれたんか……」彡;(^)(^)「心強い味方を得たで!!」
彡;(゚)(゚)「でも、ゆっくりしていては波に呑まれる!」彡;(゚)(゚)「速攻でいくで!」
(; ゚∋゚)「応!!」彡 •⌄• )「すごい……」
対岸の堤防まで泳ぎきっちゃった彡(゚)(゚)「よっしゃ!ユッキーまだいけるな?」
( ゚∋゚)「あったりまえよう!」ε=┏( ゚∋゚)┛ε=┏彡(゚)(゚)┛
と、走って行っちゃった - 14 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:00:19.003 ID:+d/oJqfR0
-
一時間後
彡(#゚)(゚)「ただいまやでー」
彡 •⌄• )「おかえり……どうしたのその傷?」彡(#゚)(゚)「教師に『こんなときに泳いで来るなんてアホか!』って」
彡(#゚)(゚)「叱られて殴られたんや」彡(#゚)(゚)「せっかく命からがら伝えたのにふざけた話やで」
彡 •⌄• ) .。oO(それは……先生が正しいと思う)彡(; 'ー`)「あんたたち!」
彡( 'ー`)「よかった……学校に行かずに退き帰したのね……」彡(#゚)(゚)……
彡 •⌄• )…… - 15 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:00:58.990 ID:+d/oJqfR0
-
彡 •⌄• )「母さま……何をそんなに慌てているの?」
彡( 'ー`)「実はね……川の様子を見に行った警察官の方が……」
彡( 'ー`)「溺れて……亡くなったの……」彡(#゚)(゚)……
彡 •⌄• )……彡( 'ー`)「危ないから、しばらく川に近づいちゃダメよ」
彡(#゚)(゚)「はーい」
彡 •⌄• )「はーい」彡(#゚)(゚)……
彡 •⌄• )……彡(#゚)(゚)「ワレ九死に一生を得り」
彡 •⌄• )「カッコつけて終わらせようとしないの!!!」彡ꐦ •⌄• )「もうこんな危ないことしちゃダメだからね!!」
彡(#゚)(゚)……彡ꐦ •⌄• )「返事は!!!」
彡(#゚)(゚)「はい……」 - 16 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:01:48.746 ID:+d/oJqfR0
-
菅野家
( ゚∋゚)「チョク、準備はできたか?」
彡(゚)(゚)「バッチリやで」彡(゚)(゚)ノ「ほな、行こか」
彡 •⌄• )「待って!」彡(゚)(゚)「どうしたんやカズコ?」
彡 •⌄• )「遊びに行くならワタシも連れてって」彡(゚)(゚)「……ええか?ユッキー」
( ゚∋゚)「あったりまえよう!」彡 •⌄• )「やったー!」
彡 •⌄• )「それで、どこにいくの?」彡(゚)(゚)「台風で壊れた、橋の所や!」
彡; •⌄• ) .。oO(え……)
なにか嫌な予感がするけどワタシは二人について行った
幸雄くんは白い布と木製の薙刀を
チョク兄ィは笛といい感じの棒きれを携えていた
いったい何をするつもりなんだろう? - 17 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:02:29.200 ID:+d/oJqfR0
-
壊れた橋
彡 •⌄• )「まだ修理の途中みたいね……」
左右に細い高欄があるだけ
通行用の板は、はがされたままだわ彡 •⌄• )「ねえ、チョク兄ィ……」
彡 •⌄• )「なにして遊ぶの?」彡(゚)(゚)「義経、弁慶ごっこや」
彡(゚)(゚)「それじゃあ始めるで」ヒョイ彡 •⌄• )「あ!危ない!!」
チョク兄ィは高欄の上に飛び乗ると
ピーヒャラと笛を奏で始めたすると、白い布で顔を覆った幸雄くんが威風堂々と仁王立ちし
( ゚∋゚)「我こそは武蔵坊弁慶なり!」
( ゚∋゚)「其方が黙って刀を渡すならそれでヨシ!」( ゚∋゚)「刃向かうのであれば力強くで奪うまで」
( ゚∋゚)「さあ!どうする!?」彡(-)(-)ピーヒャラ♪
( ゚∋゚)「なるほど……聞く耳持たんと言うことだな」( ゚∋゚)「ならば!」
と幸雄くんは勢いよく薙刀を振った
それをチョク兄ィは大きくジャンプして避け
いい感じの棒きれを降り下ろしながら着地した - 18 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:03:12.716 ID:+d/oJqfR0
-
(; ゚∋゚)「やりよる……」
(; ゚∋゚)「其方の名を聞こう……」彡(-)(-)「ワイの名は……」
彡(゚)(゚)「菅野直や!」ドヤァ彡 •⌄• )……
( ゚∋゚)……彡;(゚)(゚)「しまった……」
彡;(゚)(゚)「つい本名を名乗ってもうた……」(⌐⦿_⦿)「コラァ!そこでなにをやっとるか!!」
彡;(゚)(゚)「くっ警察まで来よった……」
彡;(゚)(゚)「捕まったら面倒や……」彡(•)(•)「逃げるんや!!」
彡 •⌄• )「うん!」
( ゚∋゚)「応!」ワタシと幸雄くんは同じ方向に逃げた
でも、チョク兄ィは細い高欄に再び飛び乗ると
そのまま悠々と渡って行く(;⌐⦿_⦿)「危ないから止めなさい!!」
との警察の言葉もなんのその……
チョク兄ィは難なく橋を渡り終え、そのまま逃げていったチョク兄ィが警察の目を引いてくれたおかげで
ワタシと幸雄くんも無事に逃げることができたでも……
幸雄くんのように顔を隠していたわけでもなく
まして、大声で名乗りを上げたチョク兄ィはその後、すぐ捕まり
大目玉を喰らう羽目になった - 19 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:04:00.777 ID:+d/oJqfR0
-
彡(-)(-)「ワイの名は……」
彡(゚)(゚)「石川啄木や!」ドヤァ彡 •⌄• )「なに?どうしたの?」
彡(-)(-)「……」
彡(゚)(゚)「ワイは石川啄木の生まれ変わりや!」彡; •⌄• ) .。oO(なにか変なものでも食べたのかしら?)
ちなみに、石川啄木は詩人よ『はたらけどはたらけど 猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る』
が有名ね - 20 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:04:51.725 ID:+d/oJqfR0
-
彡(-)(-)『ここ四日 君と会わざり さびしさに』
彡(゚)(゚)『忘名草も 萎えにけり』彡 •⌄• ) .。oO(恋人でも出来たのかしら?)
彡(-)(-)『平和なる 陽の日かがやく あしたなり』
彡(゚)(゚)『魚もとめて 童子あそぶも』彡 •⌄• ) .。oO(いい詩ね……)
彡(-)(-)『吸という字を 書きければ』
彡(゚)(゚)『啄木の 啄という字に 似てしまうかも』彡; •⌄• ) .。oO(日本語でOK?)
- 21 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:06:01.013 ID:+d/oJqfR0
-
ある日、チョク兄ィはとある先生をボコボコに袋叩きにしてしまった
その理由は軍事教練のために派遣されていた
井上少佐の悪口を言ったからだと言うこのことで父さまも学校に呼ばれて注意を受け
チョク兄ィを叱ったが
それでも彡(●)(●)「ワイは悪くない!!」
と主張し部屋に閉じ籠もってしまった夜中
彡 •⌄• )「チョク兄ィ?」
彡(゚)(゚)「ん?カズコか……」彡 •⌄• )「隣に行っていい?」
彡(゚)(゚)「……ええで」彡 •⌄• )「はい、コレ。お腹空いてるでしょ」
彡(゚)(゚)「おにぎりか……」彡 •⌄• )「うん、川◦-◦)お姉ちゃんが持っていってあげてって……」
彡; •⌄• )「あと激おこの母さまは……」彡 •⌄• )「川´_ゝ`)お兄ちゃんがなだめてくれてるわ」
彡(゚)(゚)……モグモグ
彡 •⌄• )……彡 •⌄• )「……ねえ、なにがそんなに気に入らなかったの?」
彡(-)(-)……彡(゚)(゚)「聞いてくれるか?」
彡 •⌄• )「うん!」彡(゚)(゚)「あのクソ教師な……井上少佐のことを……」
彡(゚)(゚)「人殺しが偉そうにってほざいたんや」彡(゚)(゚)「お国のために命をかけとる軍人に……」
彡(゚)(゚)「言っていい言葉とちゃうやろ」 - 22 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:06:53.210 ID:+d/oJqfR0
-
彡(゚)(゚)「もののあわれを知らない奴が教師をしとるなんて……」
彡(゚)(゚)「そっちの方がおかしいわ」彡 •⌄• )「もののあわれ?」
彡(゚)(゚)「うーん……なんて言ったらいいもんか……」彡(゚)(゚)「人としての心……悲しみを解する心のことや」
彡 •⌄• )「ふーん」彡 •⌄• ) .。oO(チョク兄ィは……)
その破天荒な行動から傍若無人で乱暴な人として思われがちだけど……
文学を愛する、とても繊細な心の持ち主だったある時、同級生のお兄さんで文学仲間だった月くんという子が
病で亡くなったことがあった月くんの家は……その……ちょっと色々あって
近づこうとする人は少なかった
だから、チョク兄ィが月くんの葬儀に参加することを家族は反対した
それでも、反対を押し切りチョク兄ィは一人で参列した
そして兄を失い落ち込む同級生に彡(゚)(゚)「辛いやろうけど、明日からちゃんと学校に来るんやで」
彡(゚)(゚)「ワイが待っとるさかい!」
彡(゚)(゚)「独りで抱えこまず、一緒に泣こうや……」と声をかけた
彡 •⌄• ) .。oO(チョク兄ィはよくこう言った……)
『友の喜びにはゆっくり行き、友の悲しみには急ぎ行くべし』
彡(゚)(゚)「ワイらは喜びを共にできんくとも……」
彡(゚)(゚)「悲しみは分かち合わなアカン!」と - 23 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:07:54.145 ID:+d/oJqfR0
-
彡 •⌄• )「チョク兄ィ!外が大変なことになってる!」
彡(゚)(゚)「ファッ!すごい雪やんけ!」彡 •⌄• )「どうする?学校、休んじゃう?」
彡;(゚)(゚)「そうしたいのはやまやまやが……」彡;(゚)(゚)「今日は大事なテストの日なんや……」
彡(゚)(゚)「そんなわけで、さっさと行くで」彡 •⌄• )「えー!」
水分をたっぷり含んだ雪の重みに堪えかねた竹がたわんでいる
そんな中でもワタシたちは進んだ
すると、途中でチョク兄ィの同級生と出会った彡(゚)(゚)「お!佐々くんやんけ!」
( ゚∀゚)「おお!チョク、おはよう」彡(^)(^)「おはようやで!」
彡(゚)(゚)「ん?足を引きずっとるけど……どうしたんや?」(; ゚∀゚)「それが、雪で隠れていた溝に足を突っ込んでしまって…」
彡;(゚)(゚)「ファッ!それは大変やんけ!」彡;(゚)(゚)「ほれ、肩、貸したるわ」
(; ゚∀゚)「気持ちは嬉しいが……」(; ゚∀゚)「オレに合わせてたらチョクが遅刻してしまう」
(; ゚∀゚)「オレのことはいいから……先に行け」彡(●)(●)「アホか!友を見捨てられるかい!!」
Σ(; ゚∀゚)彡(゚)(゚)「ほれ、遠慮せずに早うつかまり」
( ゚∀゚)「……すまん」 - 24 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:08:35.775 ID:+d/oJqfR0
-
一時間後
(; ゚∀゚)「完全に遅刻だな」
彡(゚)(゚)「別にテストなんてどうでもいいわ」彡 •⌄• ) .。oO(口ではああ言ってるけど……)
チョク兄ィは学校の勉強をとても大事にしている
成績も常にトップクラス
だけど……皆、そのことを不思議がっていた
なんでいつも夕暮れまで遊んでいるのに
あんなにいい成績が取れるのかといつだったか幸雄くんに聞かれたことがある
( ゚∋゚)「チョクはいつ勉強しているんだい?」
彡 •⌄• )「それは……内緒よ!」( ゚∋゚)……
( ゚∋゚)「お菓子をあげるよ」彡 •⌄• )!
彡 •⌄• )「モグモグ……」
彡 •⌄• )「毎日、夜中の2時か3時ぐらいまで勉強してるわ」Σ( ゚∋゚)
(; ゚∋゚)「あんなに走り回った後に……」
(; ゚∋゚)「どこにそんな体力が残っているのか……」彡 •⌄• ) .。oO(だから……)
テストを受けれなかったことはチョク兄ィにとって
とても痛手なはずだった
でも、そんな素振りを一切みせていない彡(゚)(゚)「お、ついたで……ん?」
( ゚∀゚)「皆が体育館から出てきてるな」( ゚∋゚)「おお!チョクと佐々、てっきり来ないものかと……」
彡(゚)(゚)「ユッキー、いったいどういうことや?」彡(゚)(゚)「テストはまだ始まっとらんのか?」
( ゚∋゚)「ああ、校長の話が長引いてね」( ゚∋゚)「これから始まるところだ」
( ゚∀゚)「そうか……間に合ってよかった……」
彡 •⌄• )「よかったね、チョク兄ィ」彡(゚)(゚)「せやな……神様も味なマネするやんけ」
- 25 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:09:35.861 ID:+d/oJqfR0
-
彡(゚)(゚)「ワイは江戸時代に産まれたかったわ」
( ゚∋゚)「ほう、それは興味深い……」彡(゚)(゚)「しっかりとした和服を着て、ちゃんとした日本語を喋り……」
彡(゚)(゚)「立派な侍として生きたかったわ」( ゚∋゚)「なるほど……でも……」
( ゚∋゚)「侍……武士も長男に産まれなければ、ただの無職」
( ゚∋゚)「虫歯になれば死に、白米ばかり食べて病気になる……」( ゚∋゚)「そんな時代より現代の方がよっぽどいい……そもそも……」
( ゚∋゚)「過去に戻るなんてありえないことを考えるだけ時間のムダさ」彡(゚)(゚)……ショボーン
彡 •⌄• ) .。oO(チョク兄ィなんだか……淋しそう)
- 26 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:10:10.536 ID:+d/oJqfR0
-
彡(゚)(゚)「死んだらワイらの魂はどうなると思う?」
( ゚∋゚)「そもそも、人に魂などというものはない」彡(゚)(゚)「いやいや……魂はあるやろ」
( ゚∋゚)「ほう、では理由を聞こう」彡(゚)(゚)「その前に確認しときたいことがある」
彡(゚)(゚)「考えない人間はおらん。異論はないな?」( ゚∋゚)「ああ」
彡(゚)(゚)「身体を構成するのは窒素化合物その他の物質や」
彡(゚)(゚)「でも、それらの物質が物事に対し悩むことはない」彡(゚)(゚)「なら、考える別のなにかが人間には付与されとるはずや」
彡(゚)(゚)「ワイはそのなにか、有形無形を問わず、それを魂やと思っとる」( ゚∋゚)「……たしかに」
彡(゚)(゚)ドヤァ
彡 •⌄• ) .。oO(チョク兄ィが……勝ち誇ってる)
- 27 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:11:08.286 ID:+d/oJqfR0
-
川´_ゝ`)「ぐすん……ぐすん」
彡(゚)(゚)つサスサス彡 •⌄• ) .。oO(巌兄ちゃんが泣いてる……)
どうしたんだろう?
本人に聞くのもアレだし
チョク兄ィに聞いてみよう彡 •⌄• )「ねえ、なにがあったの?」
彡(゚)(゚)「ん?巌兄ィの親友の仁くんが亡くなったんや」彡 •⌄• )「え!そんな……」
彡(-)(-)「家庭の事情とは言え……」彡(゚)(゚)「無理して朝鮮に出稼ぎに行ったのが原因やろうな」
彡(-)(-)「体もそんな強うなかったし……」彡(゚)(゚)「いや……元はと言えば……」
彡(゚)(゚)「この不況な世の中が悪いんやろうか?」 - 28 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:11:42.331 ID:+d/oJqfR0
-
彡(-)(-)「ワイらは親父のおかげで、いい暮らしをできとるが……」
彡(-)(-)「世間は失業者で溢れかえっとる」彡(-)(-)「運よく仕事がある人らも……」
彡(-)(-)「産業合理化の美名のもとに……」彡(-)(-)「低賃金や長時間労働で苦しみ」
彡(゚)(゚)「失意の中で途方に暮れジサツする者もおる……」彡(•)(•)「その一方で、歪な幸福を享受している輩の多いこと!」
彡(●)(●)「平気で人を騙し、蹴落とすことでな!!」Σ彡 •⌄• )
彡(•)(•)「人間は醜い闘争の動物や!」
彡(•)(•)「偽善の生物や!!」彡(●)(●)「ワイは絶対にそんな奴らに負けん!」
彡(●)(●)「生きて、生きて、生きて……」
彡(●)(●)「戦って、戦って、戦ったる!」彡 •⌄• )……
彡(゚)(゚)「はっ!」彡;(゚)(゚)「ご、ごめんな、カズコ」
彡;(゚)(゚)「声を荒げてしもうた……」彡 •⌄• )「ワタシなら大丈夫よ!」
- 29 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:12:26.532 ID:+d/oJqfR0
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彡(゚)(゚)「ババンバ バン バン バン♪」
彡(゚)(゚)「ババンバ バン バン バン♪」彡(゚)(゚)「いい湯だな~あははん♫」
彡(゚)(゚)「いい湯だな~あははん♫」彡 •⌄• )「湯加減はどう?」
彡(゚)(゚)「ええ湯や」彡 •⌄• ) .。oO(どこから見つけてきたのか……)
チョク兄ィはドラム缶に湯を沸かし、上機嫌に浸かっていた彡 •⌄• )「次はワタシが入るんだから、早く上がってよ」
彡;(゚)(゚)「今、入ったばかりやんけ……」彡(゚)(゚)「それにしても……」
彡(゚)(゚)「体はポカポカ、頭はヒエヒエ……」彡(-)(-)「気持ちええわ……」
彡 •⌄• ) .。oO(もう!早く上がってよ!)
彡`3´) 三三3フーフー薪に息を吹きかけ火力を上げてやったわ
彡(゚)(゚)「ん?」
彡;(゚)(゚)「熱っち、熱っち!!」彡;(゚)(゚)「こんな湯に入ってられるかい!」
彡;(゚)(゚)「さっさと上がらな茹タコになるで」 - 30 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:13:23.216 ID:+d/oJqfR0
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☆彡キラリーン
彡(゚)(゚)「お!流れ星や!」
彡(゚)(゚)……彡(;)(;)「ぐすん」
彡; •⌄• )「え?どうしたのチョク兄ィ?」彡(;)(;)「分からん……分からんが」
彡(;)(;)「なんか悲しくておれんくなった……」彡(;)(;)「とりあえず拝んどこ……」
彡(-)(-)「南無阿弥陀仏……南無阿弥陀仏」彡; •⌄• ) .。oO(なんだかよく分からないけど……)
お空にはたくさんの星々が瞬いていたチョク兄ィはこの日の思いを日記に書いたみたい
『湯を上がろうとした……僕の瞳を左上から右下に切り下げたものがある。
金星の流れ星だ。タタッターと一丈ばかり下界に向かって突進した。
気持ちがすうっとした。
すると亦なんだか悲しいような気持ちが心を占領したらしい。
悲しさに身が小さくなったようだ。
ああ、その後天空には何もない。
頭を廻らせば東の方に星は仲良くささやいていた。
人生はこれ欄干たる星辰の明滅の間。』 - 31 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:14:39.855 ID:+d/oJqfR0
-
彡(゚)(゚)「お!餅があるやんけ!」
彡(゚)(゚)「食ったろ」バクバク彡(゚)(゚)「う……」
彡;(゚)(゚)「腹が痛い……」彡; •⌄• ) .。oO(そりゃあ……)
八個も一度に食べたらお腹も痛くなるわよ……彡(゚)(゚)「お!カレーがあるやんけ!」
彡(゚)(゚)「食ったろ」バクバク彡(゚)(゚)「う……」
彡(^)(^)「美味いわ!」バクバク彡(゚)(゚)「ふー食った食った……」
彡(゚)(゚)「天気もいいし縁側で寝たろ」彡; •⌄• ) .。oO(食べてすぐ横になったら太るわよ……)
彡(゚)(゚)……
彡 •⌄• ) .。oO(ボーとして何を考えてるのかしら?)
まあ、きっと文学の小難しいことでしょうけど彡(゚)(゚)「金が欲しいわ……」
彡; •⌄• )……彡(゚)(゚)「は~スマホも無ェ PCも無ェ もちろんネットなんて通って無ェ」
彡(゚)(゚)「ワイはこんな村いやだ~ ワイはこんな村いやだ~」彡(゚)(゚)「東京へ出るだ~ 東京へ出だなら」
彡(゚)(゚)「大学さ行って……」彡(-)(-)「ひたすら勉強するんや……」
- 32 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:15:13.392 ID:+d/oJqfR0
-
彡 •⌄• ) .。oO(少し前に家族会議があった)
巌お兄ちゃんが大学に合格し
家を離れて下宿することになったの
チョク兄ィはすごく喜んだわ彡(゚)(゚)(さすが巌兄ィや)
彡(^)(^)(立派な兄を持って誇らしいわ!)彡 •⌄• ) .。oO(でも、内心は複雑だったみたい)
巌お兄ちゃんの合格が決まったとき
母さまはチョク兄ィに言った彡( 'ー`)(直……ごめんね)
彡( 'ー`)(あなたを大学にいかす余裕は……うちにはないの……)彡(゚)(゚)……
母さまと父さまは教育に熱心な親で
女の子でも学校に通わせようとする珍しい家庭だった
でも、学校に通うためには学費が必要になる
兄妹の全員分となるとその額はあまりに大きかったチョク兄ィは兄妹のために……
大好きな勉学の道を諦めざるを得なかった - 33 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:15:45.947 ID:+d/oJqfR0
-
彡(゚)(゚)(巌兄ィが大学に進んだほうがええ……)
彡(゚)(゚)(ワイは……)彡(゚)(゚)(軍人になるさかい)
彡 •⌄• ) .。oO(口ではそうは言っても……)
本心では、石川啄木のような文化人として
身を立てたかったのかもしれない
それに……•ө•)•ө•)•ө•)『チュチュンがチュン』
彡(゚)(゚)「お!スズメ三兄弟、また来たんか!」
彡(^)(^)「可愛いの~可愛いの~」警戒心の強いスズメにまで懐かれる優しいチョク兄ィに……
軍人が向いているなんて思えなかった…… - 34 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:16:35.226 ID:+d/oJqfR0
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( ゚∋゚)「チョク、聞いたぞ」
( ゚∋゚)「軍人を目指すんだって?」彡(゚)(゚)「せや……」
( ゚∋゚)「勉強熱心な若者が進学を諦めないといけないとは……」
( ゚∋゚)「イヤな世の中だ……」( ゚∋゚)「という僕も金がなくて軍人を目指すのだけどな」
彡;(゚)(゚)「ファッ!ユッキーもかいな!」( ゚∋゚)「それでチョクは陸軍と海軍……」
( ゚∋゚)「どちらを目指すんだい?」彡(゚)(゚)「正直……どっちでもいいわ」
( ゚∋゚)「なら一緒に満州陸軍学校を受験しないか?」
( ゚∋゚)「受かれば学費免除だぞ」彡(゚)(゚)「ほう……それはいい話や。乗ったわ」
( ゚∋゚)「よし!ではさっそく先生に願書を渡しにいこう」 - 35 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:17:13.445 ID:+d/oJqfR0
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学校
( `Д´)「諸君の願書を受理することはできない!!」
彡;(゚)(゚)「はぁ?なんでや!」( `Д´)「満州陸軍学校は選ばれた生徒のみが受験できる!」
( `Д´)「諸君はそれに該当しない!!」彡(•)(•)「そんなわけあるか!!」
彡(•)(•)「ワイとユッキーはつねに学年で一位、二位を争っとるやぞ!」彡(•)(•)「ワイらが受験できんなら誰が受験できるんや!!」
( ゚∋゚)「忖度ですか?」( `Д´)「諸君はまだ二年生である!」
( `Д´)「よって三年生の受験が優先される!」彡(•)(•)「待てや!受験資格には学年不問となっとるやないか!!」
( ゚∋゚)「そうです、僕たちは受験資格を満たしています」( `Д´)「年長者を優先するのは常識であり、当然である!!」
( `Д´)「諸君は来年受験し、今年は三年生に譲るべきである!!」彡(●)(●)「ざけんな!!そんな理屈があってたまるか!!!」
彡(●)(●)「テストして落ちたなら自分の力不足や!」
彡(●)(●)「納得もできる!」彡(●)(●)「でも、テストを受けるチャンスすら与えられんのは……」
彡(●)(●)「おかしいやろ!」( `Д´)「菅野!教師に向かってなんだその口の聞き方は!!」
=◯)゚)(゚) ∵ボコッ!!彡(#゚)(゚)「この野郎……!!」
彡(●)(●)「やったろうやないかい!!!」(; ゚∋゚)「チョク!ダメだ!!」
(; ゚∋゚)「もう一度、暴力沙汰を起こしたら君は退学だ!」
(; ゚∋゚)「そうなったら家族が悲しむぞ」彡(●)(●)「ぐぬぬぬ………」
彡(●)(●)「クソガァアアアアアアアアアアアアアア!!!!」 - 36 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:17:59.682 ID:+d/oJqfR0
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校門
彡(#゚)(゚)……
( ゚∋゚)「よく耐えたチョク。さあ帰ろう」「待ちたまえ!!」
彡(#゚)(゚)「ん?」
(; ゚∋゚)「あ、あなたは……」
(; ゚∋゚)「井上少佐!!」( ˙灬˙ )「君たち……先ほどはずいぶんと威勢がよかったな……」
彡(#゚)(゚)……
( ゚∋゚)……( ˙灬˙ )「君たちは軍人を目指しているのか?」
彡(#゚)(゚) ( ゚∋゚)『……はい』( ˙灬˙ )「そうか……」
( ˙灬˙ )「軍人にとって上官の命令は〝絶対〟ということは知っているな?」彡(#゚)(゚) ( ゚∋゚)『…………はい』
( ˙灬˙ )「なるほど……知っていて教師にあの態度だったのだな?」
彡(#゚)(゚) ( ゚∋゚)『…………』
( ˙灬˙ )……
( ^灬^ )「元気があってよろしい!」彡(#゚)(゚)「え……」
( ^灬^ )「軍人になるのだ!あれぐらいの気概がなくてはな!」
彡(#゚)(゚)……
( ゚∋゚)……( ˙灬˙ )「君たちと共に戦える日を楽しみにしている」
( ˙灬˙ )ゞ「精進したまえ!」彡(#゚)(゚)ゞビシッ!
( ゚∋゚)ゞビシッ! - 37 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:18:51.188 ID:+d/oJqfR0
-
彡(゚)(゚)「泳ぐの得意やし、海軍の学校を受験するか……」
( ゚∋゚)「ボクもそうするつもりだ」彡(゚)(゚)「そうと決まれば、願書を書くだけやな」
彡(゚)(゚)「ん?」
彡;(゚)(゚)「なんやと……」( ゚∋゚)「どうした?」
(; ゚∋゚)「……なんだと」注:ブサイクは海軍士官にふさわしくなく不適格とする
彡;(゚)(゚)「こんな理由で落とされたら立ち直れんで……」
(; ゚∋゚)「たしかに……」彡;(゚)(゚)「ワイらはブサイクじゃないよな?」
(; ゚∋゚)「あったりまえよう!」 - 38 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:19:41.830 ID:+d/oJqfR0
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川◦-◦)「お父さま、お母さま……」
川◦-◦)「長い間、お世話になりました」かほるお姉ちゃんがお嫁に行くことになった
川◦-◦)「直さん……受験頑張ってね」
彡(゚)(゚)「うん!」川◦-◦)「カズコさん、みんなのことお願いね」
彡 •⌄• )「うん!」こうして、かずほお姉ちゃんは故郷を後にした
彡(゚)(゚)……
彡 •⌄• )「寂しいの?一緒に寝てあげてもいいわよ?」彡;(゚)(゚)「う、うるさいわ」
- 39 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:20:10.629 ID:+d/oJqfR0
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彡(゚)(゚)「よっしゃ!勉強や!!」
彡(゚)(゚)「フフフ……勉強は愉快や!」彡(゚)(゚)「一つ一つの学問を征服していく気分や!」
彡(゚)(゚)「数学も英語も国語も歴史も……なんでもかかってこいや!!」彡(゚)(゚)「すべてマスターして華々しく受験戦線に乗り出すんや!」
- 40 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:21:01.768 ID:+d/oJqfR0
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彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「あ……」彡(^)(^)「ワイの番号があった!!」
彡(^)(^)「合格や!」( ゚∋゚)「おめでとうチョク」
彡(^)(^)「ありがとうやで!」彡(゚)(゚)「で?ユッキーはどうやったんや?」
( ゚∋゚)「ダメだった」彡(゚)(゚)……
彡;(゚)(゚)「ユッキーは男前やで……」( ゚∋゚)「フッ、ありがとう。まあ、でも……」
( ゚∋゚)「二万人が受けて、合格できるのは400人という狭き門だったんだ」( ゚∋゚)「いや……言い訳だな……」
( ゚∋゚)「自分の力不足さ」彡(゚)(゚)「ユッキー……」
( ゚∋゚)「心配するな、まだ陸軍の試験が残っている」
( ゚∋゚)「そっちに賭けるさ」彡(゚)(゚)「頑張るんやで!」
( ゚∋゚)「あったりまえよう!」 - 41 名前:一般よりも上級の名無しさん 投稿日時:2023/12/17(日) 19:21:44.697 ID:+d/oJqfR0
-
彡(^)(^)「よっしゃー!やっと受験から解放された!!」
彡(^)(^)「ワイは自由や」彡(゚)(゚)「聞いたところによると、兵学校に受かったら女学生に……」
彡(゚)(゚)「MMK(もてもてで困る)らしいで……」彡(゚)(゚)「ええ娘をナンパして一緒に映画でも見て……」
彡(^)(^)「青春を謳歌するで!!」彡 •⌄• )つ「チョク兄ィ、海軍学校から手紙よ」
彡(゚)(゚)「おお、ありがとやで」彡(゚)(゚)「なんやろ?」
彡(゚)(゚)「ふむふむ……」彡(•)(•)「はぁ?」
彡 •⌄• )「どうしたの?」彡(•)(•)「物のあわれを知らん軍の俗物どもめ!!」
彡(•)(•)「諸事情により四月の入学を十二月に早めるやと?」彡(•)(•)「それやと…」
彡(●)(●)「まったく遊ぶ時間がないやんけ!!」彡; •⌄• )「あちゃ~お気の毒……」
彡;(゚)(゚)「くっ、せめてこの新約聖書ぐらいは読破したる!!」
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