【岸田インフレ崩壊】ジャップ、老朽化した学校のプールすらもう建て替えられない

　高知市は5月、市立小中学校のプールで老朽化が進んでいることを受け、有識者や教員、保護者代表などでつくる「高知市立学校のプールの今後の在り方に関する検討委員会」（委員長・柳林信彦高知大副学長）を発足させ、具体的な対応策づくりの議論を始めた。【小林理】

　検討委発足のきっかけは、ある学校のプールが使えなくなったことだった。

　昨年夏休みの業者点検で、築35年が経過した朝倉中学校のプール槽がたわみ、裏側に付けた金属製の補強部品が破断していることが判明した。このままの状態で使用すると危険で、「プール槽の入れ替えが必要」と判定された。このため、今年度はプールの使用を停止し、当面は外部のプール施設で水泳の授業をすることになった。

　市教委によると、市立の小中、特別支援、義務教育学校の計59校に61のプールがあり、現在の築年数は16～64年。プールの耐用年数は一般的に30年とされるが、30年以上経過しているのは全体の約64％に上る。昨年度に実施した全校点検では「使用不可」は朝倉中の1校だけだったが、「要修繕」は3校に上った。今後、老朽化は確実に進み、使用停止や緊急修繕が迫られるケースがいつ出てもおかしくない。このため、1校ずつ修繕して個別対応でしのぐのではなく、市全体で対応方針を策定することになった。

　大きな問題は、プールの維持・改築には多額の費用がかかることだ。市の試算では、解体費用は1200万～2200万円、新築費用は2億4000万～3億1000万円とされる。今回の朝倉中プールの修繕費用は9823万円と試算された。さらに、水道代や浄化装置の保守点検費、修繕費などの維持費が1校あたり年100万円程度かかる。

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　一方、プールが使われる期間は限られる。水泳授業は6月上旬～7月下旬の平均26日。夏休みの補習や地域への一般開放にも使われるが、年間の大半は使われていない。今後さらに少子化が進めば利用者は減るため、多額の費用を要する修繕をためらう要因になっている。

　ただし、水泳授業の重要さは行政も教育現場も一致して認めている。学習指導要領で水泳の指導内容が示されており、5月10日に開催された検討委の初会合でも、教員の委員から「事故や災害時などに自分で自分の命を守るという観点からも、泳ぐ力を身につけることは非常に重要だ」との意見が出された。今後は「どう水泳授業の場を確保するか」を前提として検討が進められる。

　具体的な対策としては、学校プールの大規模改修・改築▽学校プールを複数校で共同利用▽民間プールの活用▽公立プールの利用――が考えられる。自校以外のプールを使う際は、学校からの距離や移動にかかる時間、交通費、安全性の考慮が必要だ。また、小学校低学年と高学年、中学校ではそれぞれ水泳授業の内容が大きく異なることも配慮しなければならない。

　他県ではスイミングスクールで授業をしたり、試行的に授業を民間スポーツクラブに委託したりしている事例があるとされる。検討委は今後4回程度会合を開き、9月をめどに答申書をまとめる方針だ。

道路はズタズタ
プールはボロボロ
トンネルは崩壊