スケボーでベンチ・路面に傷、迷惑行為が深刻化。男子学生「街中の方が爽快感ある」

　東京五輪では、スケートボード・ストリート男子で堀米雄斗選手や、同女子で西矢 椛もみじ 選手が金メダルに輝くなど日本人が活躍した。

　ＮＰＯ法人「日本スケートパーク協会」（東京）によると、東京五輪後、愛好者は増えているといい、担当者は「全国のスクールで入会のキャンセル待ちが相次いでいる状態」と話す。西矢選手が利用する「スポーツパークまつばら」（大阪府松原市）のスケートパークでは五輪後、月あたりの新規利用者は約６割増えた。

　ストリートは街中の階段や公園のベンチなどをイメージしたセクション（構造物）を設置したコースで競う。このため、実際の街のベンチなどで練習する愛好者は多く、被害増加の一因とみられる。

　悪質な行為は、警察に摘発される場合もある。

　道路交通法では歩行者らが多い道路でスケボーに乗る行為を禁じるほか、物を壊せば器物損壊罪に問われる可能性がある。昨年１２月には広島県警が、人通りが多いアーケード街を走行したとして４０歳代の男を道交法違反容疑で書類送検した。

通報看板

　自治体は対策を強化しており、大阪市鶴見区の地下鉄駅前の広場では、市が迷惑行為を目撃した人に通報を呼びかける看板を置き、警備員らが注意を繰り返すと被害は減少した。

　神戸市は昨秋から、同市中央区の「メリケンパーク」に走行を妨げる障害物としてブロックを設置。しかし、若者らは他に練習場を移すなどしており、効果は限定的という。

　大阪体育大の原田宗彦学長（スポーツマネジメント）は「競技の特性から一部の愛好者に『街中で好き勝手に滑ることが許される』と誤った認識が広まっている。自治体や関連団体が悪質行為は犯罪にもなり得ると周知し、啓発を続けることが重要だ」と話す。