日本政府「高速道路の建設費分がペイできたので無料化しますよー、するする！」　記者「いつから？」 政府「2065年頃には検討します」

不可解な高速道路料金、また問題先送り
2021.09.27

また問題の先送りか──。国土交通省の有識者会議が2021年8月4日にまとめた高速道路の在り方に関する中間答申を読んだ印象だ。

有料期間の再延長を求めるだけで、「償還主義」の問題には切り込んでいない。

　償還主義とは、料金収入で建設費を返済し、それが終わったら無料開放するという考え方だ。道路は原則無料との理念に基づく。

道路関係4公団を05年に民営化した当時、約40兆円に上っていた債務を50年までに返済する計画を立てた。

　しかし、当時の計画では民営化会社の収支に高速道路の更新費用を見込んでいなかった。その後、更新費用を賄うために、有料期間を65年までと15年延長した。

　そのときに想定した更新の対象は、主に1960～70年代に建設された構造物だけだ。しかし、いずれは80年代以降に造られた構造物も更新時期を迎える。

構造物が永久に使えるわけではない以上、更新に終わりはない。

　以前、高速道路の料金問題について取材した際、国交省や高速道路会社の担当者にこの問いを投げかけたことがある。しかし、言葉を濁すばかりで明確な答えは返ってこなかった。

有料期間の延長は単なる一時しのぎだと分かっているのに、誰も根本的な解決策を示さない。

なぜ有料と無料が混在するのか
　一続きの高速道路なのに有料と無料の区間が混在していることに、違和感を覚えるドライバーは多いだろう。こうした不可解な料金体系も償還主義が原因だ。

旧道路公団や高速道路会社が建設した区間は債務返済のため有料、国などが税金を投じて建設した区間は無料になっている。

　2021年度に全線開通する予定の三陸沿岸道路は、復興道路として大部分を税金で建設した。そのため、全体の延長359kmのうち300kmを超える区間が無料だ。

有料の高速道路を利用している他の地方の人は、不公平だと感じるかもしれない。中間答申では受益者負担の観点から、維持管理費用を賄うために無料区間を有料化するよう求めている。

　その他、一般道よりも高速走行できるという便益への対価として料金を支払うという考え方もある。この考えに基づけば、一続きの路線で有料と無料が混在するのも不合理だ。

　こうした数々の問題を指摘されながらも、国交省は依然として償還主義を堅持している。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/ncr/18/00061/091700053/