アフガン人「タリバンは安全を保障すると言ってるが何されるか分からない、日本へ行きたい😖」

アフガンの元日本留学生、日本行き切望　タリバンの「安全保障」にも「何されるか分からない…」
2021年8月27日 12時50分
　アフガニスタンの実権を掌握したイスラム主義組織タリバンは、「戦争終結」を宣言し「平和で安全」な国家再建をアピールする。だが、祖国を離れようとする市民らには、長年のテロ活動や報復、強権支配の記憶が深く刻まれている。「大きな不安を抱えてとどまる選択はできない。将来の保障は何もない」。首都カブールで日本への渡航を待ち望む４０代のアメッドさん＝仮名＝は、電話取材にこう打ち明けた。　（バンコク・岩崎健太朗）

◆これまでは政府職員…「標的」の危機
　アメッドさんは大学で教壇に立ち、アフガン政府職員としても働いていた。かつて８年間留学、滞在した日本への思いは深い。関係者とスマホで連絡を取り合い、日本政府から何らかの受け入れ認定書などが給付されることを願う。
　妻と３人の子どもを含む家族は１０人で、乳児や足が不自由な母親もいる。駐留米軍の撤退期限まであと４日。「まだ良い連絡はない。空港までたどり着けるかも分からない」
　タリバンは「外国機関や政府関係のアフガン人にも恩赦がある。ともに働いてほしい」と繰り返すが、「標的」を追跡しているとの報告も。「自分の素性が分かれば何をされるか分からない」。窓の外からは時折、発砲音が聞こえ、ここ数日はアパートから外に出ていない。
◆強権支配の記憶消えず
　２０００年前後の旧タリバン統治時代は「すべてが宗教に支配された暮らし」だった。女性の自由や尊厳が奪われ、少数民族は差別された。国際社会から孤立し国全体が困窮を強いられ、自身も少数民族出身を理由に就職できなかった。
　その後、民主政権になっても治安は安定せず、昨年１１月には講義で訪れたカブール大学で銃撃テロに遭った。３５人が死亡、５０人以上が負傷。校舎内に銃声と悲鳴が入り交じり「目の前で２人の教え子が血を流し動かなくなっていた」。タリバンと別の過激派が犯行声明を出したが、当時の政権幹部は「タリバンなどさまざまな組織とつながりがある」と非難。アメッドさんも「タリバン統治には過激派を受け入れる素地がある」と考える。
◆「信じるのが無理」
　今、街中は落ち着いているが、カブール陥落後には市民の車や金を戦利品として奪う戦闘員を見掛けた。「無法者もいる戦闘員を指導者は管理できるのか。『信じろ』と言われても無理だ。外国からの圧力は効果がない。今回出国できなければ、隣国への脱出を試みる」と語った。

https://www.tokyo-np.co.jp/amp/article/127185