米国の半導体産業　スパイ入りまくりだった

　米国の開放的な姿勢が強力な競争相手を育成

1950年代～1960年代における米国の半導体産業は、日本に対して非常に開放的であった。有償とはいうものの、基本特許と製法特許、ノウハウを米国の半導体メーカーは日本企業にライセンス供与した。

　技術ライセンス契約を締結した日本企業から米国に訪れた技術者に対し、米国の半導体技術者はとても親切だった。写真やメモなどは禁止したものの、半導体工場の生産ラインをごく普通に見学させてくれた。

　それどころか、契約していない日本企業からの訪問者に対しても、工場の内部を見せていた。この辺りのエピソードは、NHKテレビの特集番組を書籍化した『電子立国日本の自叙伝（上巻）』、1991年8月発行に数多く登場する。

当時は米国側も、取引も契約もないのに飛行場に出迎えてきてくれたり、・・・（中略）・・・写真はいけないよと言いながら、工場の中を個人ベースで案内してくれたり、
ノートを取るのも写真撮影もダメだと口では言いながら、実際はメモを取らせてくれたり、それからものによってはサンプルをくれたり、帰りに飛行場まで送ってくれたり・・・（『電子立国日本の自叙伝（上巻）』p.248）

米国人があんなに親切でおおらかな国民だとは思わなかったですね。RCAとの契約では・・・（中略）・・・ノウハウ伝授の範囲みたいなものがあったんですが、
そういうところも我々の世話役は相当融通をきかせてくれましてねえ。ですから、くどいようですが、RCAというのは日本の半導体を立ち上げてくれた恩人だと思っているんです（『電子立国日本の自叙伝（上巻）』p.280）

　この開放的な姿勢が米国の半導体産業にとっては裏目に出る。1980年代には日本の半導体産業が販売額で米国を追い越してしまう。
1988年には、世界の半導体販売額に占める日本系半導体企業の比率は50.3％となり、過去最高を記録する。米国系企業の比率は36.8％であり、両者の差は13.5ポイントにも達した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/33caca4f17d874e4c73193bf816f03226236bf80?page=2