日本会議ってなに？　🗾

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大会支える病院の三重苦　専門家が恐れる「五輪株」拡散

「五輪関係者の外傷も、新型コロナウイルス感染もすべて受けてほしい」
横浜市港北区にある横浜労災病院の平沢晃副院長（60）は4月、オンラインでの会議で大会組織委員会の担当者から言われ、戸惑った。
「一体何人が来るのか。そのために病床を空けて、一般市民のコロナ患者は受けるなということか」
病院の隣にある横浜国際総合競技場では、サッカーの試合がある。
選手、大会関係者、観客が負傷したり発熱したりした時、大会の指定病院としてどこまで治療や入院を担うか交渉していた。
五輪の負担はそれだけではない。
大会期間中は会場に医師、看護師を派遣。横浜市で事前合宿をする海外選手団の治療や入院対応も市から要請されている。
平沢さんの脳裏には、昨年末からの「第3波」の際、救命救急センターが発熱患者らであふれ、救急車の受け入れを断らざるをえなかった苦い記憶がある。これからの時期は、熱中症の多発も懸念されている。
「五輪によって救急を止めることは絶対にできない」
組織委は、五輪のための専用病床をあらかじめ確保することも求めた。
だが、ほかの指定病院とともに、「大会の成功のために力を尽くすが、コロナ患者の受け入れまでは無理だ」と押し返した。
「疑問はみんなが持っている」
今月になって組織委は、選手や大会関係者のコロナ感染について、東京都が中心となって入院先の病院を見つけてもらう方針に急きょ変更した。
担当者は「幅広い病院が受けることで、指定病院の負担を減らせる」と説明する。
ただ、こうした対応に医療現場は戸惑う。
コロナ病床がある都内の病院の院長は、選手が運ばれてくる可能性があることに、「まったく聞いていない。言葉の問題があるし、どの薬ならドーピングにならないのかも知らない」と驚く。
競技会場や選手村では約7千人の医療者が必要とされ、多くの病院が派遣を求められている。
だが、病院側は通常のコロナ対応に加え、ワクチン接種会場にも医師と看護師を出している。
そこに五輪が加わり、「負担の三重苦だ」と漏らす関係者もいる。
昭和大学病院救命救急科の八木正晴医師（50）は、「誰かがやらなければならないから手伝う。ただ、『この状況で五輪やるの？』という疑問はみんなが持っている」と打ち明ける。
昭和大の系列病院は、お台場海浜公園（東京都港区）など3会場に医療者を派遣し、八木さんが1会場の医療責任者を務める。
医師30人、看護師50人を見込むが、派遣を希望する職員はコロナ禍前の半分ほどに減った。再募集しても、なお9人足りなかった。
東京医科大学病院は、国立代々木競技場（渋谷区）に毎日医師6人、看護師8人ずつ派遣する予定だが、4月に数人が辞退した。
救命救急センター長の織田順医師（52）は「無観客なら人数を大幅に減らせたのだが」と話す。
組織委は「地域医療に支障がないようにする」として、コロナ患者を直接診ていないスポーツドクター200人を募集し、倍の約400人の応募があったと5月に公表した。
一方、同じころ、水面下では日本救急医学会に救急医の紹介を依頼した。
競技会場で医療責任者を担ってもらう救急医の協力辞退が相次いだからだ。いま救急医は、各病院でコロナ対応の中枢にいる。
ささやかれる「最悪シナリオ」
菅義偉首相が「安全・安心を最優先にやる」と話す五輪まであと1カ月。18日朝、政府分科会の尾身茂会長ら専門家有志は、「無観客が望ましい」とする提言を組織委事務局に手渡した。
提言は、首都圏で7月にかけて感染が再拡大する可能性が高いと強調する。
そのうえ、五輪と夏休みの旅行や帰省が重なることで、感染や医療逼迫（ひっぱく）が全国に広がり、インドで見つかった変異株（デルタ株）が状況の悪化を加速させる恐れがあると指摘する。
さらに、大会関係者の間でのクラスター発生、外部との接触を遮断した「バブル」からの感染流出などについて、「大会主催者が責任をもって制御するリスク」と指摘。ワクチン未接種者がいること、検査の限界などに留意すべきだとした。
組織委にとって厳しい文言が並ぶが、橋本聖子会長は同日の記者会見で、「組織委が熟慮を重ねてきた内容ともかみ合う。感染リスクに関して多くの点で共通の認識に立った」と述べた。
21日には観客を1万人まで入れる方針を決め、「多くの方々のご協力を頂いて今、（地域の）医療体制に支障をきたさないところまで来ている」と語った。
組織委のリスク認識とはどんなものか。