オリンピック中止になりそうだし、マジで新国立競技場の使い道を考えてくれ🏟

https://mainichi.jp/articles/20201128/ddp/041/040/018000c

自由すぎるコロナ対策　使い道フリー、交付金　佐賀県は「鐘」、岡山では公用車

新型コロナウイルス対策を支援する国の地方創生臨時交付金を巡って、自治体の使い道に疑問の声が上がっている。空港に宇宙を知るコーナーを新設したり、新１年生用に通学用カバンを購入したりで「コロナ対策なのだろうか」と首をかしげたくなるが、自治体にはそれぞれ理由があるようだ。専門家らは、疑問や批判を招かないような国による基準作りの必要性などを指摘している。

　国が佐賀県に交付決定した地方創生臨時交付金は総額約１５１億円（２７日時点）。その中で、佐賀空港の利用者が「密」にならず分散するように空港内にキッズスペースなどを新設する「宇宙をテーマにした多目的スペースの整備費」に計２４００万円▽オンライン中継のパソコン画面などでも試合のスコアが見やすいように県内のスポーツ施設に大型の電光掲示板を設置する事業費に約５８００万円▽新型コロナ感染者への差別をなくすために県庁に「佐賀誓いの鐘」を設置する事業に約７８０万円――が計上された。

　この使い道を巡って、テレビ番組やネット上で「コロナとの関係が不透明」など疑問の声が上がった。２６日の佐賀県の新型コロナ対策本部会議では、２５日に放送されたＴＢＳの情報番組「グッとラック！」で批判的に取り上げられたことが話題となり、山口祥義（よしのり）知事は「コロナと闘っている佐賀県民の心を傷つけた」と反論。特に誓いの鐘は、県が県出身者も入所していた国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」（熊本県合志市）に寄贈したものと同型の鐘を複製する計画で、県は「新型コロナへの誹謗（ひぼう）中傷などが問題となる中、同じ鐘の設置で偏見や差別と断絶する意識の醸成を図るためだ」と説明する。県は別の交付金で県内の医療従事者や介護職員らに計約５５億円を給付している。

　新型コロナとは直接結びつきにくい使途事例は他の自治体でもある。

　スキー場を青色にライトアップする事業に約１８０万円（北海道遠軽町）▽小学校新入生向けにリュック型の通学用カバンの購入費として町単独予算と交付金で約２１０万円（北海道東神楽町）▽スピーカー付きの軽乗用車の購入費に約１３０万円（岡山県美咲町）▽タレント、志村けんさんの出身地の東京都東村山市の東村山駅前で献花台に交通誘導員らを配置するのに約１８１万円（同市）――。

　いずれも医療・介護従事者の応援や家計支援、「密」を避けるためなどの理由がある。東村山市の担当者は「コロナ対策の一つ。元々使い道に制限のない制度で、誤解に基づき批判されるなら不本意だ」と話す。

　大分県宇佐市はスポーツの大会が中止されるなど目標を実現できなかった子供たちを対象に「＃一勝に賭けた青春」プロジェクトを始めた。選ばれた３組の企画を実現するため約８４０万円を充てる。

　臨時交付金を担当する内閣府地方創生推進事務局は「細かい条件が決まっている交付金と違い、今回は自由度を高くしたのが制度の趣旨だ。使い道は内閣府のホームページで公開している。透明性を高めて自治体には説明責任を果たしてもらいたい」としている。

　佐賀県内の介護施設職員は「コロナの負担は大きく、辞めようと思う医療・福祉関係者を踏みとどまらせる施策が必要。医療や福祉の現場への支援は足りているのか考えて」と求めた。

　４７３億円の臨時交付金が交付される福岡県は、使途の大半を医療提供体制の確保と苦境に陥っている事業者支援など経済対策に充てている。担当者は「福岡は感染状況が厳しかった時期もあり、医療の逼迫（ひっぱく）や経済の落ち込みも厳しく、直接関わりがある事業以外に振り分ける財政的余裕はない」と話す。

　立命館大の平岡和久教授（財政学）は「自治体が独自施策に自由に使える財源ではあるが、社会的弱者の支援や検査態勢の拡充などが不十分なままでは市民から疑問が生じてしまう。使い道など国がしっかりとした方針を示すべきだ」と指摘。宮崎公立大の有馬晋作教授（地方自治論）は「国としては経済を回す目的もあるのだろうが、コロナ禍で大変な人がいる中、無駄遣いになっていないかを地方議会や納税者がしっかりチェックする必要がある」と話す。