【社会】 せきをしたら暴力も・・・、ぜんそく患者のＳＯＳ

15日 23時20分

　「お前みたいなのがコロナを・・・」冬本番の日本列島。乾燥が大敵のぜんそく患者がせきをしただけで新型コロナと誤解されるケースが発生しています。電車内で心ない言葉に加え、暴力まで受けた女性の証言です。

　今シーズン、一番の寒気が流れ込んだ日本列島。北海道・陸別町ではマイナス１９．１℃を観測。

　「もう手足がちぎれそう。年とったらだめだ、寒くて」

　山形県の大蔵村では、一夜明けると車はご覧の通り。覆い尽くすように降り積もった雪を落とし、駐車場から車を出すにもひと苦労です。

　「きのうから７０センチぐらい降ってる」

　石川県の能登地区では、積雪による倒木の被害があり、その影響で停電も発生しました。

　１５日は名古屋、京都、福岡などで初雪を観測。冬本番の到来に鳥取市のホームセンターには・・・

　「雪が思ったよりも降って、積もったので、急いで来ました」

　この店では、去年の暖冬で売れ残っていた除雪グッズが売れに売れ、品薄状態になっているといいます。

　一方、東京は先月から乾燥した日が続いています。１１月は普段の２割も雨が降らず、２２年ぶりに降水量が２０ミリを下回りました。乾燥が続くと心配なのが・・・

　「コロナとか、かかりやすくなっちゃうのかな。乾燥すると菌も入りやすくなりそうで怖い」

　こちらは、湿度が低いときほど飛沫が広がりやすいことを示した、スーパーコンピューター「富岳」のシミュレーションです。湿度が３０％の場合、６０％の時と比べ、倍以上の飛沫が１．８メートル先まで届きました。

　いま、大手家電量販店で人気を集めているのが加湿機能を持った商品。とくに、加湿空気清浄機は売り上げが去年の２．５倍に伸びているそうです。

　「冬だと窓もあまり開けない。自分でも対策していかないと怖いので、コロナは」

　乾燥によって、苦しい思いをする人もいます。

　「乾燥していると（せきが）出るので、常にのどあめは持ち歩いています。電車やバスに乗るのが怖い」（ぜんそくのある女性）

　千葉県に住む５９歳の女性。重いぜんそくがあります。発熱などの症状はありませんが、激しいせきで眠れない夜もあるといいます。外出は通院のみ。多いときは週に３、４回電車に乗ることも。乗車時間は長くても１０分ほどで、他の乗客の迷惑にならないよう混み合う時間帯を避けて利用しています。

　「ここが定位置です。（壁を）向いてせきができるので」（ぜんそくのある女性）

　それでも今年５月ごろ、車内でせき込んでしまった時、これまで想像もしなかった出来事が起きました。

　「いきなり見ず知らずの方に『せきをするなら電車から降りろ』とか、『お前みたいなのがいるから世の中にコロナが広がった』『お前コロナだろ』と言われた」（ぜんそくのある女性）

　激しいせきのため、新型コロナの感染者ではないかと誤解をした人から暴言を浴びたといいます。さらに暴力も・・・

　「ドアが開いたとともに後ろからボンと押されて何が起きたかわからなかった。えっと思って振り返ったら、暴言を言った人が『しっしっ』という感じ」（ぜんそくのある女性）

　身の危険を感じた女性は、自衛策としてぜんそくであることをアピールするプレートを自作。それでも暴言はなくなりません。コロナの影響で収入も減っているため、タクシーの利用は難しいといいますが・・・

　「確かに不愉快ですよね。近くでせき込んでいる人がいたら『え？』って思うのは人の心理として当然だけど、そこで止めてほしい。せきが出てしまう病気を抱えている人もいるということを、もう少しわかってほしい」（ぜんそくのある女性）

　気管支ぜんそくが専門の医師は・・・

　「外でせきをするときは、非常に気を遣うと言う患者が多い。さぞ気苦労しながら生活しているんだろう。むしろ必要な治療を手控えることで、（ぜんそくが）悪化することも懸念されるので、安心して普段の治療を続けていただければと思う」（帝京大学医学部附属病院 長瀬洋之医師）

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4152089.html