IOC会長「東京五輪は世界中から観客が来るの！無観客はやーやーなのっ！」

　その中、東京都内で来月、体操の国際競技会が行われる。日米中ロ４カ国の男女計３２選手が参加する小規模な大会だが、五輪の延期が決定して以降、国内に海外選手を招く初めての五輪競技の国際大会になる。観客も２千人程度入れる予定という。大会は五輪への試金石となるだろう。

　海外選手の受け入れ態勢など五輪に向けてのテストケースと注目された、１２月の柔道の国際大会は中止になった。密接に組んで戦う競技に、集団感染の不安がぬぐえないためだ。万が一、感染者が出た場合、五輪開催地のイメージが著しく損なわれる恐れも考慮されたという。体操の国際競技会でできる限りの課題を洗い出し、五輪へつなげてもらいたい。

　むろん、体操の大会だけで判断するのは早計だ。五輪には２００を超す国・地域から１万１０００人の選手が来日する。８万人のボランティアも運営に携わる。訪日観光客も想定しなければならない。単一競技の大会とでは人員の規模感が大きく違う五輪で、感染リスクをどれだけ減らすことができるかに、その成否は掛かっている。

　来月の体操以外にテストとなる場が国内で見えない現状は心もとない。海外では国際大会を開く動きが少しずつ出てきている。こうした大会のノウハウも吸収する必要がある。

　東京五輪開幕まで、きょうで９カ月となった。「安全な五輪を開く」活路がまだ見えていない現実は直視すべきだろう。ここからの「安全・安心」の積み上げいかんでは、五輪が幻になってもおかしくないことは胸に刻んでおきたい。