習近平国家主席、公安機関の粛清に着手。完全掌握目指す

習氏の粛清が本格化、公安機関を完全掌握へ
毛沢東式「剣を内へ向け、骨から毒をそぎ落とす」

　中国の習近平国家主席の側近は先月、国内の公安機関を巡る毛沢東式の粛清を呼び掛け、「剣を内へ向け、骨から毒をそぎ落とす」時が来たと言明した。

　たちまちのうちに粛清が始まった。

　号令が掛かってから1週間とたたずして、中国共産党当局は警察と司法関係者少なくとも21人の調査に着手した。法執行をつかさどる共産党の上部委員会が引用したメディアの集計で明らかになった。
それ以降、これまででは最も高官レベルの上海の警察トップや表彰経験のある党幹部らなど、さらに十数人が追及されている。

　習氏は今回初めて、強力な公安機関に対する徹底した組織的粛清に踏み切った。担当官らは「絶対的に忠実で、絶対的に純潔な、絶対的に信頼できる」警察と検察官、判事を求めるとしている。
習氏がこうした方針を推進する様子は、対米関係の急速な悪化に歯止めをかけようとする中、国内で直面する厄介な懸念を浮き彫りにしている。

　政治専門家はこうした運動について、中国の刑事司法システムにおける腐敗の根深さを示すものだと指摘する。習氏が8年近くにわたり、汚職撲滅と持続的な一党支配体制の確立に努めてきたにもかかわらずだ。

　習氏はこれまで、収賄や職権乱用の罪で2015年に終身刑を言い渡された元政治局常務委員の周永康氏のほか、規律違反に関するここ2年の調査で失脚した公安局の高官2人など、法執行当局の高官を標的にしてきた。

　専門家の間では、取り組みを本格化させた習氏について、社会的安定と自身の権力維持に不可欠な機関の掌握に腐心しているようだとの見方も出ている。
新型コロナウイルス流行による景気悪化や、米国との緊張の高まりを背景に、社会的混乱や習氏の指導力を巡る反発が広がりかねない。こうした状況に直面する中で、今回の運動は習氏にとって極めて重要な取り組みとなり得る。

https://jp.wsj.com/articles/SB12273252618571004181604586577701002336390

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