荒川静香さんってなんでオリンピック金メダル取れたの？　浅田真央ちゃんはあんなにクルクル回れるのにとれなかったんだぞ

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浅田次郎さん　タフで恋多き「永遠の神秘」

美しい人でしたね。僕の小説が映画化されて、女優さんと会う機会があったんですが、おふくろみたいだなと思いました。おしゃれで気位が高く、タフで毅然（きぜん）としていて。おふくろは７０歳になってもパラソルをさして、きれいな着物姿で出かけていました。小柄だけど姿勢がよく、健脚でしたね。

　昭和２年生まれ。東京・青梅にある御岳山頂の由緒ある神社で、代々神主を務める家の出です。講社の人たちの宿坊を営んでいて、たくさんの女中に板前やコックまでいた、裕福な家だったみたいです。女学校を卒業後、泊まり客だった復員兵の父と出会い、駆け落ち同然で結婚したと聞きます。

　戦後の闇市で成功した父が没落した後、両親は別れ、母は夜の客商売に身を投じました。豪華絢爛（けんらん）なナイトクラブ全盛の時代で、一つのお店に何百人とホステスがいたそうですが、母はどのお店でも「ナンバー１だった」と自慢していました。恋多き人で、歴代の彼氏を紹介されましたよ。

　僕が高校生のとき新宿の地下街を恋人と歩いていたら、仕事に向かう着物姿の母と出くわした。彼女に紹介しにくくてね。困っていたら、アイコンタクトだけしてすれ違っていきました。
その後、気になって僕が振り返ったことを知っていたのか、母から「男は振り返ったりするもんじゃないよ」と叱られました。怒られたのは、そのときが唯一。物事の善しあしよりも、行いが美しいか美しくないかを大切にする人でした。

　おしゃべりで、ものすごく作り話がうまかった。宇宙人にさらわれたことがある、とか平気で言っていましたから。面白い話をたくさんしてくれた。多くは反面教師といえる人でしたが、その点は遺伝しましたかね。
親として十分なことをしてやれなかったとの負い目なのか、いつも僕に背中を向けていた気がします。親と子の絆を書いた「壬生義士伝」を読んだときもショックを受けていたようです。老後に近くに引っ越してこないかと誘っても、「うん」とは言いませんでしたね。

　７４歳で亡くなりました。葬式に親族ではない知らない男性がたくさん来た。老後も恋多き人だったんでしょうね。今でもよく夢に出てきます。永遠の神秘というか、女性像というか、最後まで不思議な人でした

実力上位陣が本番でコロコロ転んでくれた